未払い賃金239万円受ける 倒産会社の賃金立替制度を活用=福岡・粕屋
仲間とともに未払い分の賃金を獲得した粕屋民商の岩本さん(右から2人目)
福岡・粕屋民主商工会(民商)の岩本和博さん=造園=は独立行政法人「労働者健康福祉機構」の「未払賃金立替払制度」を活用して12月1日、3人の仲間とともに未払い賃金239万7360円を受けることができました。「自分たちだけではとても解決できなかった。民商に入っていて本当に良かった」と話しています。
造園会社で働いていた岩本さんらは、経営難を理由に2カ月から半年分の賃金が未払いになり、09年3月末に4人で退職し、民商に相談に行きました。同じ班の森川義一副会長にも相談し、4月に福岡東労働基準監督署に対して、社長に未払い分の賃金を支払うように行政指導を申し立てました。
監督署では、岩本さんたちの「労働者性」が問題に。「岩本さんたちの賃金計算は工事単価ではなく日給がもとになっている。工事現場での作業は社長の指揮監督の下に行われており、会社の専属で働いている。社長自身が書いた『未払い賃金を支払います』との覚書がある」などを説明し、「労働者性」が認められました。
岩本さんらは、「労働者健康福祉機構」の「未払賃金立替払制度」(注)を活用することにしました。
「事実上倒産している」とする監督署の認定が必要なことから、岩本さんらは09年8月、同監督署にその認定を申請しました。しかし、「事業活動が停止しているものとは認められない」と昨年3月、不認定処分を決定。納得できなかった岩本さんらはすぐに福岡労働局に対して審査請求。合わせて、民商と一緒に処分の取り消しを求めて陳情しました。その結果、「事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払い能力がない」として9月29日、原処分を取り消す採決書が労働局から届き、後日、監督署に必要な書類を提出し、機構から未払い分の賃金が支払われました。
(注)「未払賃金立替払制度」
「賃金の支払の確保等に関する法律」(賃確法)に基づき、企業が「倒産」したために賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、未払い賃金の一定の範囲について、独立行政法人労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度です。
中小企業の倒産とは(1)事業活動が停止し、(2)再開する見込みがなく、(3)賃金支払能力がない状態になった-ことを指します。労働基準監督署長の認定が必要です。
|