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  トップページ > 経営のページ > 公正取引 > 全国商工新聞 第2772号 3月12日付
経営 公正取引
 
不二家のFC加盟店が悲鳴
早く店を開けたい

=洋菓子販売=
 「今年のひな祭りは、ケーキを販売できなかった。毎年、大勢のお客さんがケーキを買いに来てくれたのに、今年はシャッターが下りたままやった。この仕事が大好きだから、早く店を開けたい」。「不二家」を営業するYさんは寂しそうに話します。

 震災にも負けず 町の人を元気に
 開業して20年余り。ペコちゃんのケーキやチョコ、キャンディーを販売する仕事を誇りに思い、地域の人たちからも親しまれてきました。
 阪神淡路大震災のとき、1カ月間の閉店を余儀なくされましたが、町の人たちから「早く店を開けて。閉まっていると寂しい」と言われ、シャッターを上げて、みんなを元気づけました。長期閉店はそれ以来。うれしそうにケーキやお菓子を買っていくお客さんの姿を見るのが元気の源だったYさんにとっては、つらい日々が続いています。
 1月11日の朝。「不二家」の問題がテレビのニュースで流れましたが、「埼玉工場でなんかあったんかな」とあまり気にもせず、いつも通りに店を開けました。ところが本部からのファクスを見ると、閉店するようにと書いてありました。
 詳しい状況は何もわからないまま、3日間、1週間と過ぎていきました。それでも「泉佐野工場は大丈夫だから、そのうち、店を開けられるやろ」と考えていました。しかし1月29日、同工場がプリンやシュークリームの消費期限を、社内基準より1〜2日長く表示していたことがマスコミで報じられました。「きちんとやっていると思っていたのに…」。
 しばらくは外に出ることもできず、何も手につかない状態。「テレビを見ていても気が遠くなるような感じで、食事も食べた気がせず、このままでは病気になってしまう」と落ち込みました。

 営業再開に向け 気持ち引き締め
 不二家FC加盟店のメーリングリストでは、さまざまな意見が飛び交い、本部へ激怒している人や、不信感をあらわにする人もいました。しかし、Yさんの思いは違いました。「犯罪者みたいな後ろめたい気持ちになったけど、なんで自分がこんな目にと思うんじゃなくて、息子が犯罪を犯した母親のような感じ。『なにやってんねん。しっかりしてよ』と声をかけたいようなそんな気持ちだった」とYさんは振り返ります。  不安だったのは「このまま営業できず、本部から切られるんやないか」ということ。仕事が続けられないことが、何よりもつらいと感じていました。
 閉店から1カ月が過ぎたころ、気持ちもようやく落ち着き、Yさんは「しゃあない。なんとかなる」と思えるようになりました。いつ再開できてもいいように、店の大掃除を始め、ママさんバレーにも顔を出すようになりました。
 2月中旬を過ぎると本部からは、営業再開に向けての説明書が送られてくるようになり、Yさんの気持ちも引き締まります。「不二家は変わったんやと世間の人たちに理解してもらって、今度は間違いないと言える体制を整えてほしい。営業を再開したときにお客さんがどんな顔をするか。よかったなあと言ってくれる人ばかりじゃない。苦情を言う人もいるだろうから、どう対応していいのか」。不安は尽きませんが、それでも営業再開できるのを心待ちにしています。
 
 
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