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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3192号11月16日付
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経営
 

ほっとできる店で家庭料理をどうぞ 生業経営 姉妹でスタート

家族の暮らし大切に=東京・渋谷民商=トモキッチン

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おかあさんお手製のエプロンを着て、笑顔でお客さんを迎える3人

 「生まれ育ったこの商店街に、みんながほっとできる場所をつくりたい」―。東京・渋谷民主商工会(民商)青年部のトモさんは目を輝かせます。姉と妹と3人で家庭料理の「トモキッチン」をオープンして1カ月。都の助成金も獲得し、家族で力を合わせて夢を形にしています。

営業は午後5時まで
 「手作りの味って感じだね」「毎日食べても飽きないのよ」。正午過ぎに12席が満席になったトモキッチンでは楽しげなお客さんの声が聞かれます。こじんまりとしたあたたかい雰囲気の店は新宿副都心にほど近く、住宅街でありながらオフィスも多い初台という地域にあります。自宅の1階を改築し、営業は7時から17時まで。おかあさんが作ったエプロンを身に付けた3人がてきぱきと働いています。

新鮮食材使い団らんの味を
 「メニューのベースは家族団らんで囲んできた祖母や母の家庭料理なんです」と調理師歴10年のトモさん。厳選した新鮮食材を使った野菜中心のメニューは、トモさんが得意の沖縄郷土料理も組み合わせています。お米は3人が小さい時からお世話になっている商店街の米店が毎日精米して配達。モーニング500円、ランチ900円など安価での提供も好評です。
 「もう5回目の来店」という近隣で働く女性客は「塩分が控えめで、ほっとできる家庭の味。この辺りには一人で入りやすいお店が少ないので、ここができてとっても助かっている」と笑顔。男性グループの来店も多く、モーニングには出勤前に立ち寄る常連さんもできました。早朝から店に立つ3人は「お客さんに、行ってらっしゃい、と声を掛けて送り出す毎日がうれしくて」と声をそろえます。

自宅を改装し開業で親孝行
 「祖父の代から継いできたこの家を使って、姉妹で何か事業をしたいね」。以前からぼんやりと抱いていた共通の思いが形になり始めたのは、1年ほど前のこと。
 トモさんが働いていた飲食店が閉店したことや、自宅をマンションに建て替えないかという不動産会社からの提案、自宅で内装業を営んでいたお父さんが病気で引退を決めたことなどが重なり、「30歳までに自分のお店を持ちたい」というトモさんの目標を後押ししました。会社員として経理をしていた姉、接客をしていた妹も、勤め先を退社。「この街にあったらいいなと思っていた理想の店をつくろう」「この場所をつなぐことが親孝行になる」と話し合いました。
 家族との暮らしを大切にしながら生計を立てようと、営業時間を決め、閉店後は店内をリビングにして使えるように設計しました。

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「忙しいお客さんを待たせないように」と手早くケーキセットを準備するトモさん

都の助成制度を活用
 何も分からないところから店づくりを開始した3人。改装のための融資や内装工事、取引先との関係づくりや経営の勉強などに奔走しました。

民商を訪ねて事業計画作り
 その最中、商店街活性化のための助成金の存在を知ったトモさん。教えてくれた商店街のカメラ店に勧められ、今年6月、渋谷民商を訪ねました。店舗新装工事や設備購入にかかる費用の2分の1を上限100万まで助成する「小売商業後継者育成・開業支援事業」に挑戦することを決意。しかし書類の多さや複雑さに圧倒されました。
 民商に相談しながら、損益分岐点を見極めた価格設定や開業までのスケジュール調整などを行い、「仕事のストレスから解放され癒やされるような空間」というコンセプトを押し出して事業計画書を作成。商店街の会長からも承認を受け、「生まれ育った地元、この場所で後継者として店を形にしたい」との思いを強くしました。
 面接では、8人の担当面接官から「会社員の多い街で、昼のみ営業の店はニーズがあるのか」などの質問を受けました。「私のお店は店舗兼住居ではなくて、住居兼店舗。家族を巻き込んだ事業なので、たくさんもうけるより、夜の団らんの時間を大切にしたい」「初台には女性が一人で行ける店や、夕方までランチが食べられる店が少なく、コンビニで食事を済ませている人も多い」と自身の思いや経験を込めて主張。将来性や事業の計画がしっかりしていること、前向きな姿勢が評価され、満額100万円での実行が決定しました。8月20日には通知が届き、店の命ともいえる厨房設備を整えることができました。

大好きな商売本当に楽しい
 9月28日のオープンから1カ月。近隣に住む河田光博元会長=不動産=ら民商役員もよく顔を出します。「『何か困ったことないか』といつも声を掛けてくれる、きさくな民商の役員さんの存在も大きな頼り」と笑顔のトモさん。「大変なこともあるけど、好きなことをしてご飯が食べられるって本当に楽しいこと」と実感しています。
 「自分たちが楽しく働いて、おいしいものを提供するこのお店を長く続けたい。トモキッチンをめざして若い人に初台に来てもらって、くつろいだ時間を過ごしてもらいたい」とうなずき合う3人。住みやすく、愛される地域づくりにつながる、夢の詰まったお店が誕生しました。

全国商工新聞(2015年11月16日付)
 
   

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