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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3116号4月21日付
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経営
 

民商の事務組合で 個人事業主も労働保険

東京・渋谷民商副会長で社会保険労務士 斉藤学さんが解説
 労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)が近づいています。制度の仕組みや民主商工会(民商)の「労働保険事務組合」の活用法などについて、東京・渋谷民商副会長で社会保険労務士の斉藤学さんが解説します。

業務上の事故疾病気に 労災保険
「労働保険」とは
 「労働保険」とは、「労働者災害補償保険」(以下「労災保険」といいます)と「雇用保険」の二つの保険制度のことをいいます。対象になる人は、どちらも原則として「労働基準法」に規定されている「労働者」です。ただし例外として労災保険では、「特別加入」制度が設けられ、法人の代表取締役、役員、個人事業主などの使用者も要件が合えば、労災保険の適用を受けることができます。
 その要件の一つが民商などの「労働保険事務組合」に労働保険の事務を委託していることです。個別に手続きをしている一般の事業所では取り扱いができません。都内のある民商では、あらためて「事業主も加入できる特別加入」をチラシで宣伝したところ、すぐに3件の新規委託と会員拡大につながりました。個人事業主にとっても魅力的な制度です。
 しかし、家族経営の従業者は、労働保険の適用から除外されています(家族従業者でも同事業所に他の労働者が雇用されていれば、一般労働者とみなし適用されることはある)。その根拠は、労働基準法に「同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と規定され、家族従業者は労基法上の労働者ではないとされているからです。
 多くの民商の会員さんは、家族経営で事業を営んでいます。構成される働き手が「家族だけ」なのか、それとも「他の労働者」も雇用されているのかが違うだけで労働することに何ら変わりはありません。たとえ同一の生計下であっても、家族従業者は一人の労働者として認められ尊重されるべきです。世界基準ではそれを「人権」と呼んでいるのです。
 民商婦人部などが廃止を求めて取り組んでいる所得税法第56条問題も根は同じです。家族経営に例外なく「労働保険」を適用させることは、全商連の日本版・小企業憲章(案)を進める上でも大事な点です。

助成金を活用しよう 雇用保険
「労災保険」とは
 そもそも労災保険は、戦前の「工場法」「鉱業条例」を基に使用者の責任保険として労基法上の「災害補償」の規定を保険化したものです。ですから労災保険料は、全額事業主の負担になっています。保険料は、鉱業、建設業などの危険を伴う事業は高くなりますが、一般の飲食店やサービス業は、賃金総額に対して0・3〜0・35%の保険料率をかけた額になりますが、思っているほど高くはありません。
 保険事故の対象は、「業務災害」と「通勤災害」に大別されます。前者は、仕事中にけがをした場合など、業務を遂行しているときに業務が原因で起きた負傷や疾病です。最近では、うつ病などの精神障害も労災に認定されています。
 後者は、会社に行く途中に交通事故に遭って骨折した場合、帰宅途中に転んで負傷した場合など、通勤途上での負傷が対象になります。ただし、仕事の帰りに「通常の通勤経路」から外れて飲み屋で一杯やって、その途中にけがをした場合(逸脱・中断)などは、労災は適用されませんので「左党」の方は気をつけてください。
 保険給付の種類は、「負傷・疾病」「障害」「介護」「死亡」に応じた給付があります。主なものでは、「療養(補償)給付」として医療費、薬の代金などが全額無料で受けられます。また療養のため仕事を休み、賃金の支払いがない場合には、「休業(補償)給付」としてその労働者の給付基礎日額(事故前3カ月間の平均賃金)の8割(内2割は特別支給金)が支給されます。ただし業務災害の場合、事故当日から3日間は、「待期期間」として事業主が賃金の6割を補償しなければなりません。他に「障害」が残った場合には、「障害(補償)給付」として年金や一時金が支給されます。「死亡」の場合には、遺族に対して「遺族(補償)年金」や「遺族(補償)一時金」「葬祭料」などが支給されます。いずれも補償される額は、労働者の「給付基礎日額」を基に計算されます。
 先に触れた「特別加入」の役員、事業主が給付を受ける場合も、労働者と同じ扱いになります。ただし特別加入の給付基礎日額は、報酬を基に平均値で計算することはしません。加入の際に表1の中から任意に選択した給付基礎日額で給付額は計算され、保険料もこの日額で算出します。

表1

全国商工新聞(2014年4月21日付)
 
   

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