第19回全商工交流会 小企業・家族経営が輝く持続可能な社会へ
多彩な研究・実践の成果 確信と共感広がる
兵庫県内23自治体が後援
楽しく学んで、未来を切り開く力をつけた商工交流会・第13分科会参加者
「つくろう! 中小商工業の力で 平和で持続可能な経済・社会を」―。第19回中小商工業全国交流・研究集会(商工交流会)が9月5、6の両日、神戸市内で開かれました。民主商工会(民商)会員や研究者、自治体労働者、国・地方議員、学生など1000人が参加。戦争する国づくりに突き進む安倍政権が掲げる「アベノミクス」の対抗軸として、小企業・家族経営が輝ける社会こそが人間性に富み、豊かで持続可能な社会であることを提起。研究成果や、営業を守り発展させる中小業者の実践と活動を大いに交流しました。
商工交流会が神戸市で開かれたのは22年ぶり。阪神・淡路大震災から20年目という節目の年の開催となりました。神戸新聞社やNHK神戸放送局などマスコミ5社とともに、兵庫県や神戸市など県内自治体の半数を超える23自治体から後援を受けました。
展望つかむ
1日目の全体会では土谷洋男・現地実行委員長に続いて磯谷吉夫・全国実行委員長があいさつ。「工場や店舗、住宅が失われ、絶望の中から営業と生活の再建に向けて立ち上がり、生活再建支援法制定など被災者の運動で勝ち取った成果も生まれた。被災地が抱える問題点や今後の課題を含めて大いに交流し、今後の発展の力にしよう」と呼び掛けました。
名城大学の井内尚樹教授が講演。冒頭、戦後70年を迎える日本が「憲法体制か安保体制か」が問われていることを指摘。戦争法案を強行採決しようとする安倍政権の狙いが軍事産業の強化であることを明らかにしました。
さらに阪神・淡路大震災や、東日本大震災で起きた福島原発事故に触れながらエネルギー問題に言及。原発事故の原因も解明されていない中で政府が川内原発を再稼働したことを批判し、「今われわれが考えなければならないのは、エネルギーは電力会社から供給されるのではなく地域資源を生かして自分たちがつくるということ。中小業者が主人公になって自然エネルギーをつくる、そういう社会に変えることが必要」と訴えました。
鈴木隆起・神戸市立工業高等専門学校准教授と、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議の岩田伸彦事務局長が特別報告。鈴木准教授は産学連携の実践例を紹介しながら「技術相談は無料。まずはどんな問題でも気軽に相談してほしい」と呼び掛けました。
岩田事務局長は「県や神戸市は行政とオーナーの20年契約を盾に震災復興借り上げ住宅から被災者を追い出そうとしている。被災者の粘り強い運動によって一部で継続入居が可能となったが、引き続き全国の被災者と共同し、生活再建支援法の拡充と被災者の要求を実現するために奮闘したい」と述べました。
岡崎民人・常任実行委員(全商連事務局長)が基調報告。「『創造的復興』が被災地や被災者に何をもたらしたかを検証し、被災地が直面する課題について討論で深めたい。日本の政治・経済のありようを問い直すとともに、これからの厳しい時代をどう生き抜くか、先進的な経験を学び合い、展望をつかみとろう」と訴えました。
討論深めて
全体会後、三つのパネルディスカッションと憲法講座が開かれ、2日目は15の分科会で討論。どの会場も好評でした。分科会場では物産展コーナーが設けられ、昼休みにはお土産を買う参加者であふれました。
中央大学4年の多田優也さんは「成功事例を単にまねするのではなく、地域の資源に焦点を当てていくことの重要性を再確認できた。小さな事業者は人間関係が希薄な街の中で、僕らにとっては温かい存在」と感想を話していました。
京都・中京民商の藤波良子さん=ブランド品買取・販売=は「初参加です。分科会は『異業種交流』に参加し、大手にはできない商売に努力している経営者の話に共感できた」と語っていました。
全国商工新聞(2015年9月28日付) |