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  トップページ > 平和・民主主義のページ > 民主主義 > 全国商工新聞 第3293号12月18日付
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民主主義
 

稲嶺ススムさん3選で 辺野古新基地阻止へ

業者要求の実現に尽力
 沖縄・辺野古沖の新基地建設を許すかどうかを最大の争点とした名護市長選挙が、来年1月28日に告示(2月4日投票)されます。市長選挙で問われるものは何か。2期8年の稲嶺市政について、稲嶺ススム市長、チョウ類研究者の宮城秋乃さん、仲本興真・沖縄県連会長の3人で語り合いました。(司会は編集部)

辺野古の海にも陸にも基地は絶対造らせない

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沖縄県名護市長 稲嶺 ススムさん

いなみね・すすむ 1945年、名護市生まれ。琉球大卒。名護市収入役などを経て05年名護市教育長に就任。2010年名護市長選で辺野古基地建設に反対し初当選。14年再選される。ランニングが好きで、名護、伊江島マラソンにも参加。子どもたちの通学の安全を守る活動も続けている。

リフォーム助成など実績 経済の域内循環さらに

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沖縄県連会長 仲本 興真さん

なかもと・こうしん 沖縄県商工団体連合会会長。行政書士。ヘリ基地反対協事務局長。「平和丸」船長として02年から辺野古の海で抗議行動を継続。

先を見据えた市政運営 自然も人も守る社会を

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チョウ類研究者 宮城 秋乃さん

みやぎ・あきの 通称、アキノ隊員。東村高江・国頭村安波の米軍ヘリパッド周辺の生物分布と、ヘリパッド配備や米軍機の飛行による動物たちへの影響を調査。著書に『ぼくたち、ここにいるよ 高江の森の小さないのち』(影書房)。

 ─名護市長選挙が目前に迫っています。最も訴えたいことは。
海は県民の宝
 稲嶺 普天間基地の辺野古移設阻止です。市民にとって避けて通れない重たい課題。だから最初に掲げなければなりません。私の立場は「辺野古の海にも陸にも基地は造らせない」であり、相手候補との決定的な違いです。
 最初の市長選で相手候補は、政策論争に乗らず、再選の時(14年)は、自民党県連が自民党本部に屈服する中で、相手候補も基地建設推進の立場を鮮明にしました。しかし、市民が選んだのは私でした。
 今度の候補者は「裁判の途中なので裁判の行方を見守りたい」などと言っていますが、当人は名護市議会議員として、辺野古新基地の推進・容認を主張している人物です。
 新基地建設は、名護市政の「一丁目一番地」の問題。翁長知事と力を合わせ必ず阻止したい。それが市民への約束でもあります。
 仲本 「平和丸」に乗って、基地建設工事反対の非暴力の抗議行動を続けながら、辺野古の海を見つめています。この海は、美しいだけでなく、沖縄県民の宝なんです。
 沖縄戦が終わった後、辺野古地域に「大浦崎収容所」がつくられ、本部や伊江島の人たちが強制収容されました。かやぶき小屋での暮らし、食料不足も深刻でした。多くの人たちが飢えをしのぎ生き延びたのは辺野古・大浦湾の「海の幸」があったからです。オジイ、オバアにとって「辺野古の海は命の海」でした。私たちの世代でなくすわけにはいかないのです。

貴重な生物が

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埋め立て工事が強行されている辺野古沿岸

 宮城 やんばるの森には、チョウ類だけでも、県指定天然記念物コノハチョウ、沖縄県固有種リュウキュウウラナミジャノメ、準絶滅危惧種リュウキュウウラボシシジミやイワカワシジミなど、貴重な種類がたくさん住んでいます。でもヘリパッド配備やそれによってさらに激しくなった米軍の訓練によって、そこにしか生きられない生き物が絶滅の危機に追い詰められていることを目の当たりにしています。
 沖縄の人たちが大切にしている「命どぅ宝」(命こそ宝の意)という言葉がありますが、自然や生き物たちの命を守りたくて基地建設に反対する沖縄の人が多くいます。
 でも、日本政府は目先しか見ていない。基地建設の目的を防衛としているが、お金の流れを見れば、これはビジネスだということが分かる。命よりもお金を大切にしているのです。「命」や「自然」に対する沖縄と政府の価値観のズレを感じます。
 ─基地建設反対は、命、自然を守り、未来をつくることなんですね。
 稲嶺 「辺野古の海」は、仲本さんが紹介したように「命を救った恵みの海」です。私が「辺野古の海にも陸にも…」と、最初に話したのは、辺野古のテントで座り込みをしているオジイ、オバアの前でした。
 基地建設に反対するのは「保守か、革新か」といったイデオロギーの問題ではない。命、生活の問題です。それは自然を守ることにも直結しています。辺野古新基地は、危険なオスプレイを100機以上、配備する計画で、耐用年数は200年以上です。私たちは70年以上も基地に苦しめられてきました。さらに200年も苦しめられるのか、ということが問われています。
 宮城 自然を守ることは、結果的に人間のためにもなります。人間を中心に見た場合、長い目で見れば、自然を残すことは生物資源の発見につながったり、観光資源となったり、自然災害を防いだりと、未来の人々に自然の恩恵を引き継ぐことができます。
 目先の利益にとらわれる人は、自然も人間も大事にできない人だと思います。
 仲本 基地は「百害あって一利なし」です。最近もヘリやオスプレイが相次いで墜落しました。昨年4月には名護市出身の若い女性が暴行・殺害されました。こうした犯罪もあって、米軍基地のある街は廃れるばかり。その一方、那覇市、北谷町の基地返還跡地の発展は目覚ましい。基地は経済発展の阻害要因ですね。

自立の力守る
 稲嶺 今、沖縄経済をけん引しているのは観光です。
 観光客が沖縄を訪れる理由の一つが青い海、青い空、やんばるの豊かな森など、沖縄に残された自然ではないでしょうか。沖縄独特の文化や芸能もそうでしょう。それは沖縄観光の大きなツールであり、沖縄の財産です。
 新たな基地を造ることは、豊かな観光のツールだけでなく、沖縄が自立していく大きな要素・力を失うことにもなります。
 オスプレイが、昼も夜も飛び交う所に行きたいと思うでしょうか。基地は沖縄の自然にも観光にも経済にも暮らしにも、そして沖縄の未来にも大きなリスクをもたらす。そのことを考えなくてはなりません。
 仲本 辺野古の海は世界自然遺産条約の暫定リストに登録も、といわれるほど世界に誇れる素晴らしい海です。そこを埋め立てていいのか。しかも何度も市民、県民が「基地建設ノー」の意思表示をしたにもかかわらず、です。この問題をまともに論じない候補者には、市政を任せられない、と心から思いますね。
 ─稲嶺市政について、翁長県知事は「沖縄一の市政をつくった」と評価しています。
 宮城 やんばる統一連が作成したパンフに書いてあるように、新しい基地建設を受け入れる自治体のみに交付する「米軍再編交付金」を、稲嶺市政はもちろん受け取っていません。
 その前の島袋市政は総額17億4200万円を受け取っていたそうです。でも稲嶺市長はそのお金がなくても市民のことを考えた行政を、計画的にちゃんとやっている。米軍再編交付金がないと市政が成り立たない、と主張する県外の方々にこそ読んでほしいパンフだと思います。

翁長知事と力合わせる

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カヌーと船で辺野古新基地建設に抗議する人々

 仲本 私たち中小業者にとって、特に印象に残っているのが住宅リフォーム助成制度の創設(2013年)でした。終了までの約2年で、4694万円(296件)、助成金に対し、総工事費は3億3000万円です。波及効果を含めると11倍以上の経済効果を上げています。市民に歓迎され、業者にとっては仕事おこしになりました。
 2015年には店舗に対するリニューアル助成も実現し、商店街の活性化にもつながりました。いずれも県内11市では初めてのこと、地元業者への温かい「視線」を感じます。

歳入は大幅増
 稲嶺 名護市がめざしているのは「経済の域内循環」です。地元でできる仕事は地元に発注する。お金が名護で回っていく仕組みですね。
 米軍再編交付金がカットされたことで、市の職員と一緒になって知恵を出し、その結果島袋前市政と比べると、この7年間で歳入の総額(収入)が約508億円増となりました。
 「基地があれば仕事が増える」などの議論もありますが、その大半を受注するのは、県外の大手企業です。辺野古の工事が始まったばかりのころですが、当時の工事総額は約70億円。このうち名護市内の業者が受注した工事は約6億円。10%にも満たないものでした。今では市発注の公共工事は100%、名護市内業者に発注する仕組みに大転換、市内の建設業も伸びてきています。
 宮城 数字で根拠を示すことが非常に大事だと思っています。今お話しされたような実績をみんなに知ってほしい。基地がなくても、米軍再編交付金がなくてもちゃんとやっていける。ほかの自治体にも良い影響を与える市政だと思いました。
 稲嶺さんの目は20年、30年先を見据えています。そうでなければ、自然も人間も守ることはできない。結果的には、今と未来の子どもたちのためになると思います。
 稲嶺 名護市の次の担い手である子どもたちへの支援にも力を入れています。
 来年4月には、待機児童ゼロを達成できるでしょう。沖縄初のことです。医療費は中学生まで無料にしました。これは県内11市の中で名護市が初めてです。子どもの学校給食は3人目から無料にしましたが、今、2人目から無料にできないかと頑張っています。
 前市政では米軍再編交付金を受け取りながらもできなかった小・中学校へのクーラー設置も進んでいます。
 国民健康保険(国保)税も、一般会計からの繰入額は1人当たりでみると一番多く、1世帯当たりの国保税は11市の中で一番安いですよ。
 ─あたたかい市政と新基地建設に反対することは一つなんですね。
 稲嶺 大事なことは、未来を担う子どもたちのために、私たち親の世代が、子どもをしっかり育てることです。それをしっかり考えた上で、判断し行動することが、私たち大人の、子どもたちと未来に対する責任だと思っています。
 宮城 子どもたちは、それをお手本にして、次の世代にバトンタッチするんでしょうね。命を紡ぐのと同じです。
 稲嶺市長は名護市の未来まで見ているから、自然を残すことと同じように市政の面でも命や暮らしを大事にする政治ができるのだと思います。

未来切り開く
 仲本 「自然を守るということは未来からの借り物を残していくこと」-辺野古に基地を造らせない運動に参加している人から聞かされた言葉です。基地に反対することは、名護と沖縄の未来を切り開くことです。
 稲嶺市長は、私たち名護市民のそして全国の希望の星。私たちも全力で頑張ります。
 稲嶺 みなさんの期待に応えて必ず勝利し、基地建設を許さず、沖縄の森と海を守り、そして未来への責任を果たしたいと思っています。

全国商工新聞(2017年12月18日付)
 
   

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