暮らし犠牲の実態告発、軍事費を削減し貧困の克服を =原水爆禁止世界大会分科会
原水爆禁止世界大会・広島では5日、15の分科会と4つの移動分科会が広島市を中心に開かれました。全商連が運営責任団体となった第13分科会「核兵器廃絶とくらし-軍事費削減、格差・貧困の克服」には149人が参加しました。
軍事費問題のほか、日本が米国の戦争体制に組み込まれている状況にあることを学んだ第13分科会
安保廃棄で福祉充実へ
はじめに日本平和委員会の佐藤光雄さんが問題提起。日本の軍事費について「『防衛費』は約5兆円だが、他の項目に算入されているのも含めれば、実際の軍事費は8兆円にもなる。税収37兆円の5分の1。安保条約で日本の軍備強化が義務付けられているためだ」と指摘。その上で「巨額な軍事費が社会保障の削減や公務職場でもワーキングプアが生まれる原因にもなっている。解決には日米安保条約の解消が必要」と話しました。
特別報告では、沖縄・北那覇民商のOさん=空調設備=が、沖縄県での米軍の事件・事故を告発。「米軍基地が返還された北谷町は今栄えてる。基地のない方が経済を活性化させるのは明らか。沖縄人が求めているのは平和な沖縄。普天間基地なども無条件撤去しかない」と訴えました。
年金者組合の篠塚多助さんは、低年金による生活苦が高齢者の犯罪や自殺を増加させている実態を挙げて「高齢者の生活を支える年金や社会保障を良くするには、軍事費を削らなければいけない」と強調しました。
会場からは「奨学金を受ける学生が増えている。学生らとつくっている平和問題のサークルで、税金の使われ方が貧困・格差にもつながっていることを伝えたい」(北海道)、「学生就職難のなかで自衛隊がチラシを全戸配布するなど募集を強めている。軍事強化と国民の貧困化のつながりを実感している」(大阪)など、各地の状況が話されました。
討論を受けて、全商連の勝部志郎常任理事が「安保条約によって軍事費が増やされ、その経済協力条項を根拠に規制緩和や社会保障改悪が進められ、国民生活が追い込まれていることについて学習も宣伝も強め、世論を変えていこう」とまとめました。
被爆のつらさ思い涙が出た
青森民商・Gさん=左官
核兵器の被害は被爆直後だけではなく、放射能で生殖機能に影響が出るなど子どもや孫の代になっても続くことを知り、驚きました。被爆者の人はどんなつらい思いをしてきたでしょうか。自分も子も孫もいる身なので、そのつらさを思ったときに涙が出ました。悲惨な歴史を繰り返してはいけないと思います。
大会は初参加で、これまで核兵器のことはあまり知りませんでした。もっと核兵器について勉強したいと思いました。また広島に来て、原爆資料館をもっとゆっくり見たいと思います。
原爆の惨劇を知ってほしい
鳥取民商・Uさん=瓦工事
今年初めて平和行進に参加し、娘と一緒に歩いたのが縁で、民商から世界大会参加の声がかかりました。初参加です。
2日目は娘と原爆投下直後に被爆者が運び込まれた似島を見学する分科会に参加しました。薬も少ない中で多くの人が亡くなり、山と詰まれた死体が焼かれた話や、孤児が生まれた話に、原爆のひどさが伝わってきました。過去に原爆が落ちたとは思えないほど、現在の広島の街は立派です。しかし、原爆ドームなどを見て、残虐な兵器が使われたのだと実感します。惨劇を忘れないためにも、多くの人に見てほしいと思いました。
私も民商で報告会を行うなど、多くの人たちに世界大会参加や広島見学を呼びかけたいと思います。
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