戦争法廃案めざし学者150人が会見
「日本の将来を決める正念場」―。学術分野を超える広範な学者・研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が7月20日、都内で記者会見しました。約150人が参加し、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都大学名誉教授らが登壇。衆院での強行採決に抗議し、廃案に向け、さらに国会を包囲し安倍政権を退陣に追い込みたいと決意を語りました。アピールに賛同する学者・研究者は7月28日現在で1万2461人に達しました。
日本学術会議前会長で専修大学の廣渡清吾教授は「国会議員にさまざま形で働きかけて国会内の雰囲気を変えることは、十分に可能。学生や市民らと連帯してたたかっていく」と決意を表明。「憲法9条を守るたたかいは国際的な責務。二度と戦争をしないとした国際社会への約束を私たち国民が果たす時」と沖縄・辺野古新基地建設を阻止するたたかいと連帯して取り組む重要性も強調しました。
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主な発言者の要旨を紹介します。
世論拡大して政権に鉄槌を=京都大学名誉教授・益川敏英さん
今、安倍首相は憲法をなし崩しに有事と判断すれば戦争できる国にしようとしている。立憲主義、民主主義に真っ向から否定するものだ。反対世論を拡大して安倍政権に鉄槌を下し退陣させよう。
海外研究者も賛同を寄せる=京都大学教授・高山佳奈子さん
国際刑事法学会で欧米各国の著名な大学研究者からも賛同が寄せられている。憲法を無視した政策を進めるべきではないと。拉致問題解決は周辺各国との友好が必要だ。抑止力を高めることが積極的平和主義ではない。
国民の思いで廃案にさせよう=東京大学名誉教授・上野千鶴子さん
多くの研究者が権力からの学問の自立を求めて立ち上がった。学生も世代を超えて、学者とともにたたかっている。新国立競技場の白紙撤回は国民の怒りで実現させた。今が正念場。手遅れにならないうちに大きな怒りの世論で廃案に追い込もう。
学者の研究は平和のために=名古屋大学名誉教授・池内了さん
安保関連法制は軍事化戦略の一環。科学者、技術者を軍事研究の動員が始まろうとしている。防衛省は競争的資金制度を7月に導入した。日本の軍事化を許さないと研究者の立場から訴えたい。自分たちの研究は人びとの幸福、平和のために役立てたい。
全国商工新聞(2015年8月3日付) |