▽失業対策と国際法
京都府は11月19日、府内の高校生を対象に、卒業後も就職先が決まらなかった場合、月8万円を給付しながら介護や農林業などの職業訓練を行うとする失業対策を打ち出しました。財源は、府の一般会計から繰り入れた緊急対策雇用基金です。
失業中の所得保障制度である雇用保険は、失業前に労働者であり保険料を納めていることが前提。労働経験のない新卒者は対象外です。
しかし、ILO(国際労働機関)の「雇用の促進及び失業に対する保護に関する条約(第168号)」では、あらゆる形態の求職者に生活保障を行うよう政府に求めています。新卒者はもちろん、廃業した自営業者、子どもの養育や病人・高齢者等の介護に専念していた人なども対象。幅広い保護が国際的な要請なのです。同条約に日本は批准していませんが、憲法第25条(生存権)や第27条(勤労権)に照らしても同様の政策が行われるべきであり、京都府の事業は歓迎されるものです。
年末には雇用保険給付が切れる失業者が100万人に達すると言われています。新卒者のみならず、憲法の理念に沿った政策が全国に広がることが期待されます。
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