マンガでわかる新安保法制=戦争法案のキケン
安倍政権は5月15日、憲法9条を破壊する安保法制=戦争法案を国会に提出し、今国会での成立を狙っています。二度と戦争をしないと誓った戦後日本のあり方を大転換させ、米国と一緒に日本を海外で戦争する国につくり変えようとするものです。その危険な内容をマンガで解説します。
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戦争法案/国会審議も軽視 国民無視の対米国従属
政府が提出した戦争法案は二つです。
一つは「国際平和支援法」です。これまでアフガニスタン戦争やイラク戦争に対してそれぞれテロ対策特措法、イラク特措法などの時限立法をつくり、自衛隊を派兵してきました。
国際平和支援法は恒久的に自衛隊を海外に派兵ができるようにするための法律です。イラクでもアフガニスタンでも米軍が世界中で引き起こす戦争に、政府の判断でいつでも自衛隊を海外に派兵し、米軍や多国籍軍を支援できるようにするというものです。
もう一つは、過去二十数年の派兵法制や有事法制10本を「一括」で「改正」する「平和安全法制整備法」です。歴代政府が違憲としてきた集団的自衛権の法制化から国際平和協力法(国連PKO法)、周辺事態法の抜本改定、自衛隊の平時での海外任務の拡大まで多岐にわたる内容を盛り込んでいます。
日本を海外で戦争する国につくり変える二つの法案を、安倍政権は今国会のわずか80時間程度の審議ですませ、8月上旬に成立させることを狙っています。
見過ごせないのは、安倍首相が4月に訪米したときに行った米上下両院合同会議での演説で、国会にも提出されていない戦争法案を「夏までに成立させる」と公約したことです。国民より先に米国に公約することは、安倍首相の対米従属ぶりを鮮明に示しています。
さらに首脳会談では米国とともに「海外で戦争する国づくり」を推進する「日米同盟強化」、沖縄・辺野古への米軍新基地建設を約束。国民多数が反対しているにもかかわらず、民意を無視して対米公約したのです。
安倍首相とオバマ米大統領の共同声明では、新「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が「同盟を変革」し、「日本が地域およびグローバルな安全への貢献を拡大する」と強調しています。さらに米国などに対する武力攻撃に共同対処する集団的自衛権行使を明記するとともに、自衛隊が米軍に地球規模で協力し、従来の「戦闘地域」にまで行って、軍事支援をすることをうたっています。
自衛隊が米国の戦争に参戦し、「殺し、殺される」戦闘を行うことは憲法9条を破壊するものです。
国民主権も立憲主義も踏みにじる政府の行為は、国民との矛盾をいっそう深めています。世論調査では二つの戦争法案の賛否について今国会での成立は「必要ない」が60%、「必要」が23%です(「朝日」5月19日付)。法案の賛否について、「反対」が55%で「賛成」25%を上回っています(「日経」5月25日付)。国民の多くは戦争法に反対しています。
全国商工新聞(2015年6月1日付) |