辺野古に基地はいらない
来年1月の名護市長選勝利へ 沖縄・名護民商会長 仲本興真さんがリポート
沖縄・米軍普天間基地の移設問題が揺れています。沖縄県民の願いに背き、アメリカは名護市辺野古への新基地建設に固執。日米同盟にしばられる鳩山政権に失望と怒りが渦巻いています。名護民主商工会(民商)の仲本興真会長が現状をリポートします。
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沖縄県内の民商会員をはじめ2万1000人が辺野古への新基地建設と県内移設に反対して拳をあげた11・8県民大会(琉球新報提供) |
「こんな素晴らしい海に米軍基地をつくることは考えられない」―。全国から辺野古に来た人びとは、まず最初にコバルトブルーの海の美しさに感嘆し、同時に怒りの声をあげます。沖縄本島の北部に位置する名護市辺野古に、新しい米軍基地を建設する計画が降ってわいたのが13年前。1995年の米兵による少女暴行事件を発端に、沖縄や全国で高まった米軍基地反対運動を収めようと、日米両政府は96年にSACO(沖縄における施設および区域に関する特別行動委員会)の合意を結びました。その目玉が「世界一危険」といわれる普天間基地の移転でした。辺野古は海兵隊の基地キャンプシュワブのあるところで、今まで米軍にとってイラクやアフガンの戦争拠点として大きな役割を果たしてきました。
しかも、この地域は、ジュゴンが生息し海ガメが産卵する場所。沖縄県が指定した厳正な保護を図る評価1の区域でもあります。
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新基地建設反対の座り込み行動を激励する全国革新懇平和ツアーの参加者 |
建設ノーの審判
名護市民を二分してたたかわれた97年の住民投票。300人近い防衛施設局職員の全戸訪問や、さまざまな振興策のばらまき宣伝にも負けずに、建設ノーの審判を下しました。沖縄の歴史にも誇る審判だったのです。
当時、小学生の娘と基地問題を真剣に話し合った、名護民商副会長の渡具知敦子さん=精肉販売=は「13年前に審判は下っていた。親として子どもたちに、どう説明したらよいのでしょうか」と怒りの声をあげます。
現行の計画は軍港やヘリパッド、2本の滑走路を持つ、新型の基地。隣接した東村高江のヘリパッド基地建設と連動して、北部地域の基地の要塞化が計画されています。
8月の総選挙では新基地建設反対を掲げた候補5人が当選し、沖縄の政治情勢も大きく変化。県議会も基地建設反対の議員が過半数を占め、辺野古の新基地建設反対の議会決議も行いました。11月8日には、2万1000人の参加で、辺野古の基地建設反対、県内移設反対の集会も開かれました。
この13年間、全国の皆さんの支援やたたかいで辺野古の海には、基地建設のための杭は一本も打たせていません。
県民7割が反対
基地反対の運動の高まりと世論(沖縄の世論調査は70%が辺野古基地建設反対)が広がるなかで、辺野古基地建設反対を選挙公約で掲げた民主党政権が大きく揺れています。
名護市長や沖縄県知事も「県外がベストだ」と言いながら、「政府に早く決着を」と選挙を意識した発言が相次いでいます。
全国の支援を
2010年1月には名護市長選挙、11月には県知事選挙も行われます。政府の基地建設計画は大きく狂い、世論と運動が新基地建設計画にストップをかける最大の山場にかかってきました。辺野古の基地建設は米軍再編の要でもあり、全国で進行する米軍再編に大きな影響を与えます。新基地建設反対の候補を勝利させ、来年はなんとしても会員700人の名護民商を建設するため奮闘する決意です。全国の皆さんの支援をお願いします。
日本全国の問題
全商連会長 国分稔さん
沖縄県民の願いはただ一つ「移転」ではなく「撤去」です。その思いを痛感しています。
沖縄の基地問題は日本全国の問題です。日米安保条約がある限りこの問題は解決しません。ことは日本の主権の問題です。主権者たる国民が基地ノーの思いを託した結果、自公政権が退場となった。民主党政権はそのことを重く受け止め、米政府に基地の無条件撤去ができないなら安保破棄も辞さずの姿勢を強く示すべきでしょう。
地鳴りのような運動を
京都・山科民商 野原孝喜さん
沖縄に来て戦跡や、嘉手納・普天間両基地、辺野古を見学し、基地問題の深刻さをあらためて感じました。
本土に住んでいる私たちも、平和憲法を持つ国に他国の基地が存在していいのかという点を、真剣に考える必要があると感じました。
中小業者は平和でこそ商売繁盛です。沖縄と一緒になって、京都でも基地撤去を求める地鳴りのような運動を起こしていきたいと思っています。
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