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民泊新法 旅館業法の規制骨抜きに 安全・環境悪化に懸念
政府・自民党が提出を予定する民泊新法は、住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」を旅館業法の適用除外とする一方、条例で営業日数の上限を地域の実情に応じて制限することができることにしています。
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旅館業法では、「旅館業」とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業および下宿営業をいいます。同法は、「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」について、「公衆衛生の確保」や「善良の風俗の保持」等からさまざまな規制を設けています(上の表参照)。
ホテルでは、客室床面積は1室9平方メートル以上10室以上、旅館は1室7平方メートル以上で5室以上、簡易宿所は延べ33平方メートル以上。また、ホテル・旅館では、「玄関帳場その他これに類する設備を有すること」も必要です。また、氏名、住所、職業等を記載した宿泊名簿を備えることも義務付けられています。
また、旅館業の許可を受けるためには、構造設備基準を満たす必要があり、学校等から100メートル以内には立地できないなどの規制もあります。
さらに、建築基準法では、旅館業法とは別の観点から、「建築物の用途制限」を行っており、ホテル・旅館は住居専用地域に建てることはできません。
なお、「農山村余暇法」は、農村滞在型余暇活動に資するための機能の整備を促進するため「農林漁業体験民宿業」を認めています。また、「国家戦略特区」では、「一定の要件を満たす特区内の施設(「民泊」)」について、条例で定めた期間(7日〜10日)以上、外国人旅客に提供する宿泊を旅館業法の適用除外にしています。
新法は、旅館業法の規制を骨抜きし、ホテル旅館営業に大きな影響を与えることは必至です。
全国商工新聞(2017年3月6日付)
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