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  トップページ > 業種のページ > IT・サービス > 全国商工新聞 第3198号 1月5日付
 
わが業界・地域の抱負と課題
 

今年の抱負と課題 わが業界わが地域





地域振興へ役割発揮

帯広信用金庫常務執行役員・地域経済振興部長 秋元和夫さん

 帯広信用金庫(本店・北海道帯広市)が営業基盤とする十勝は、広大な十勝平野や「十勝晴れ」と呼ばれる豊富な日照に恵まれ、農業と食産業を基幹産業として発展してきた「日本の食料基地」とも称されている地域です。
 この帯広で私は4年間、日本銀行帯広事務所長を務め、いったん東京に戻ったものの、縁あって帯広に戻ってきました。十勝の人たちが魅力的だったからです。いまでは帯広市中心市街地活性化協議会会長や、とかち観光大使なども務めています。
アイデアを出し
 日銀時代も東大阪のものづくりの現場に足を運んだり、経営破たんした中小企業の方々にも接してきました。そこで感じたのは「地域経済を支えているのは中小企業。その努力で日本経済は成り立っている」「地方が元気にならなければ日本も元気にならない」ということでした。
 十勝は地域の規模、自然や人材を含めた地域資源の豊かさから見て、基幹産業である農業、食産業に大きな可能性があると感じています。「その十勝の経済振興をお手伝いできないか」。その思いを胸に、09年に帯広信金が新設した地域経済振興部長に就任しました。
 実はその部署は、十勝のシンクタンク的な存在でもあります。さまざまな機関・団体と協力して、地域をどう活性化させるか、アイデアを出し、実践してきています。
 例えば、十勝では先例のない酒米づくりから始めた「とかち酒文化再現プロジェクト」、国内では類をみない「ナチュラルチーズの共同熟成庫の建設」などに挑戦し、自然エネルギーを活用した「真冬のマンゴーづくりプロジェクト」も支援しています。それらは十勝の農水産資源の多様化、高付加価値化をもたらしています。
 一方、十勝の産業に大きな影響が懸念されているTPP合意をはじめ、グローバル化に伴う問題や、人口の減少、少子高齢化といった構造問題も深刻化しています。これらに真正面から向き合い、生産者や事業者、研究機関などと協力、連携して地域を元気にしていくことが、私たちの使命だと思っています。
100周年迎え
 帯広信金は「地域貢献8つの取組方針」を定めています。全ては紹介できませんが、例えば「地域のすべての人々、事業先を対象とし、見返りは求めない」、地域貢献の取り組みを「組織として評価する」などを掲げています。
 取引先でなくても見返りを求めず、相談に乗る。地域貢献を本来の仕事の一つに位置付けている、というわけです。
 民商さんとも中小企業振興基本条例に基づく産業振興会議などでお会いし、議論を重ねてきました。地域のために力を合わせて一緒に前に進んで行きたいと思っています。同時に、その中で具体的な成果を勝ち取り、成果は地域に発信し、共有を進めてほしいと願っています。
 帯広信金は今年5月、創業100周年を迎えます。
 十勝の多様な農業の発展、そして地理的条件、気候条件を生かした宇宙産業の誘致も夢見ながら、地域内再投資、地域内資金循環を生み出す要として、十勝に貢献したいと考えています。


希望与える経営者に

大阪府トラック協会副会長(株)東陽運輸代表取締役 松元憲行さん

 昨年の大阪都構想を問う住民投票は、反対が多数を占めましたが、ダブル選挙は、残念な結果に終わりました。原因はいろいろあるでしょうが、住民投票の時のような「オール大阪」がつくれなかったことが大きいのと違いますか。
 橋下維新政治は「弱い人には強く、強い人には弱く」が特徴です。
政治の転換必要
 私たちトラック協会も橋下維新政治に嫌がらせを受けてきました。軽油取引税の引き上げにともない、輸送コストの上昇を抑制する施策として設けられた「運輸事業振興助成交付金制度」により、府トラック協会は、国から年間10億円ほどの「交付金」を受け取ってきました。国から大阪府を通じ、トラック協会に交付されるものですが、橋下氏が大阪府知事になって以降、10年度の交付金は7割、翌年度は全額カットです。
 交付金は法律で定められたものです。それを勝手にカットする。こんな仕打ちをされているのは全国でも大阪だけですよ。大阪府にいったんお金が入ったら「あとは府の裁量だ」と、橋下氏は言いますが、こんなことが許されますか。
 私たちは交付金を使って環境、交通安全、さらに緊急輸送訓練対策などを進めてきました。東日本大震災、阪神・淡路大震災の際も、トラックを使って大量の物資を運びました。うちの若い運転手は「何かお手伝いをしたい」と涙を流しながら水を配ったものです。交付金カットは、トラック業界だけの問題ではない、と声を大にして言いたいですね。
先を見抜く力を
 私は1963年、オート三輪1台から運送の仕事を始めました。この業界は99%が中小零細企業です。単価をカットされても泣く泣く仕事を受けざるを得ない。私も運送費の値上げを求めたことがありますが「だったら他社とやってくれ」と言われたものです。
 そのためにいろいろな免許を取得し、バス、タクシー、介護タクシー、養護学校の送迎、放置自転車の撤去など多角的な経営に乗り出して、経営の安定を図ってきました。
 経営者に求められるのは先を見抜く力です。そして種をまくことです。芽が出たものを摘む人は多いですが、種をまく人は少ない。そのためには、世の中の流れ、政治にも精通しなければなりません。
 しかし今の政治家には自分の財産をなげうってでも、市民のためにやろうという人があまりにも少ない。政治家は、市民や府民が何を望んでいるのか、それを伝えるメッセンジャーであるべきでしょう。そのためには人の苦しみ、痛みが分からなければいけません。国民の7割が戦争法に反対しているのに、それをごり押しする安倍内閣というのは遅かれ早かれ、国民に見放されるのは間違いないでしょう。
 そうした世の中の流れをしっかり見定めて従業員が白いご飯を食べられるようにする、そして夢や希望を与える。これが経営者にとって一番大事なことです。私の会社は定年制がなく、元気があればいつまでも働くことができます。今年も「人を大事にする会社」づくりをめざして頑張っていきたいですね。

全国商工新聞(2016年1月5日付)

   
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