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  トップページ > 業種のページ > IT・サービス > 全国商工新聞 第2858号 12月8日付
 
業種 IT・サービス
 

旅館業界の固定資産税 なんとかして

深刻な税の滞納
旅館・ホテルを励ます 山形・鶴岡民商


 景気の悪化で客足が伸び悩む旅館業界に高すぎる固定資産税が追い討ちをかけています。この問題で聞き取りを行ってきた山形・鶴岡民主商工会(民商)は、固定資産税1000万円の滞納など深刻な実態をつかみ、納税緩和措置・徴収猶予(地方税法15条、図参照)を掲載した商工新聞を渡して励ましてきました。鶴岡市内の温海・湯田川・湯野浜の温泉街を訪ね、経営者に実情を聞きました。

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湯治場として1300年の歴史をもつ湯田川温泉。
宿泊客の減少に苦しんでいます。
税の滞納続出
 「売り上げは昨年より微増だが、物価高騰と市町合併に伴う水道料金の大幅値上げで赤字続き。大変厳しい」と話すのは温海温泉を代表する約50室のホテルを経営する佐藤昇さん(仮名)。
 年間に支払っている固定資産税は約1000万円。納期通り払えず、分納しています。「仕入れや電気代などの滞納は、すぐ業務に支障が出るから支払わねばならず、結局、消費税や固定資産税の滞納につながってしまう。観光振興というなら固定資産税をせめて今の半分ぐらいにしてほしい」と語ります。
 ニーズを先取りして15年単位で設備投資を行ってきましたが、過去の債務が大きすぎ、客層が団体から個人にシフトした現在、十分対応できません。
 佐藤さんは「宿泊産業が外から収入をもたらし、雇用と地産地消で経済の中核を担ってきたのに…。緊急の支援が欲しい。このままでは倒産が相次ぐ」と危機感を募らせています。

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入湯税活用して
 湯治場として知られる湯田川温泉。景気悪化で昨年、この温泉で一番大きな旅館がつぶれ、廃墟のまま。年内には従業員35人を抱える中堅の旅館が廃業するといいます。
 旅館を営むOさんは「うちも固定資産税だけで年間220万円。大変な負担です。
 年間150万円も納めている目的税の入湯税(注)を固定資産税の負担軽減に充ててほしい」と訴えました。

 (注)入湯税は、地方税法701条に基づき、鉱泉浴場が一人当たり1日150円を徴収し市町村に納める間接税。観光振興に充てる目的税で鶴岡市での入湯税の1年の税収は1億6000万円。趣旨に反し一般財源として使われています。

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延滞金高すぎる
 固定資産税を取りに来た市の徴収員に「私に首をくくれということですかと思わず言ってしまった」と言うのは温泉旅館を営む金田育子さん(仮名)。
 固定資産税と消費税合わせて130万円に加え、10年前に建て替えた費用の銀行への返済が大きな負担となり「サラ金並みの延滞金(税、年14・6%)をなんとかしてほしい」と訴えました。
 民商の役員が市に延滞金を年4・7%に軽減できる徴収猶予の制度があることを知らせると、「そんな制度は市や税務署から一度も教えてもらったことがないし、びた一文まけてもらったことがない」と憤りました。

鶴岡民商と旅館組合が懇談
 鶴岡民商の菅原健一会長と遠藤強副会長は11月5日、鶴岡市旅館組合の定例会に参加し、若手経営者ら11人と懇談しました。
 旅館組合長のSさんは「固定資産税の問題は切実だ。もし市の条例を変えることで減免が可能なら、市議会でなんとか決着できないだろうか」と発言。
 他の参加者からは「築後20年もたっているのに、固定資産税はほとんど変わらない。銀行は建物の価値を見てくれない」「学生のスポーツ大会の宿泊客も多く、教育上も大切な体験になっている。学校に税金はかけないはず。固定資産税は低くすべきだ」「駅前の1等地に県外大手業者が100室もあるホテルを建てている。4軒も建てば旅館組合は全部つぶれてしまう。行政が私たちが生きていけるよう支援してほしい」‐など切実な声が相次ぎました。



民商が県旅館組合で話題に
 鶴岡民商は4月、旅館・観光ホテルなどを一斉訪問。6月には固定資産税の軽減を求めて鶴岡旅館組合と一緒に対市交渉を行ったことが山形県旅館生活衛生同業組合連合会(県旅連)の中で大きな話題になっています。
 県旅連は9月、鶴岡市を会場にして都市旅館研究会を開催。鶴岡旅館組合は全国商工新聞(6月30日号)に掲載された鶴岡民商の訪問記事や、固定資産税の特例(軽減)措置を営業施設にも適用するよう市に求めた要請書を研究資料として用意し、注目が集まりました。
 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)の会長も務める県旅連の佐藤信幸会長は「客足も減少している今の情勢下には思い切った固定資産税減免の特例措置も必要であり、大変いいことだ」と述べるなど、参加者全員が商工新聞記事を熱心に読んでいました。

   
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