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  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第3126号7月7日付
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業種 製造・小売
 

中小業者として生きる=フィルムテープの専門家・「ここでしか」のものづくり極め

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「中小業者は仲間で集まってこそ力を発揮できる」と信念を持つ藤川さん

 「中小業者が志をもってものを作り、生き抜くためには、力を合わせることが必要」―。大阪・住吉区でフィルム加工・製袋の「株式会社阪和紙業社」を経営する藤川隆広さんが培ってきた確信です。住吉民主商工会(民商)会長、大阪商工団体連合会会長を務め、今年5月には全国商工団体連合会(全商連)の副会長に就任し、中小業者運動の先頭に立っています。民商で身につけた本質を見極める力で、下請け業者から脱却し商売も伸ばしています。

 紙芯に巻かれた、長さ2メートル弱、直径50センチほどの大きなフィルムが刃の付いたスリッター機を通ると、13巻の手のひらサイズのフィルムテープに姿を変えます。整理整頓が行き届いた工場内、ほこりや毛髪が製品に入らないよう、キャップを被っての作業は、さながら食品加工場のよう。「包装は商品の第一印象を決める重要な部分」と話す藤川さんは、スリッター機の改良や熟練の技、徹底した品質管理で取引先との信頼関係を築いてきました。
 力を入れているのは、消費者から直接注文を受けて材料を仕入れ、印刷、加工まで行うフィルムテープ作り。スポーツイベントや野外コンサートの会場整備、店内のディスプレーまで注文は幅広く、顧客の要望やテープを使う環境に最適な物を提供します。「自分の技術を生かしてものづくりをしてきた。リピーターも多い」と自信に満ちた笑顔を見せます。「フィルムは一巻ごとに、質や厚さが違う。生きものみたいなもんや」と愛着を語り、環境に配慮した素材の開発のため、大学とも連携。素材や印刷技術の進化にも対応し、学習を欠かしません。

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 自立に目覚めた元請けの不条理
 阪和紙業社は1968年、父親の栄一さんがスリッター機2台を購入し、下請け業者として開業。藤川さんは35年前、父親の病気を機に、「とにかく両親を食わせなあかん」と勤めていた建築会社を辞め、家業を継ぎました。
 ものが売れた時代、パッケージの仕事も増えていました。しかし、高度成長に伴い事業を拡大した元請け会社は、下請けに依頼していた仕事を自社でまかなったり、子会社化して合理化やコスト削減を図り始めました。藤川さんも設備投資をした矢先に元請けからの仕事が突然ストップ。「親会社の都合で、下請けは不条理に切られる」と痛感しました。
 「なぜこんなことが起きるのか。元請けに頼る不安定な商売に先はない」。経営の本質を見つめ、下請け脱却を模索していたころ、元請けの商社が倒産しました。「商品の供給がなくなり、お客さんが困っている。誰か作れないか」と依頼を受けた藤川さんは、「自分がやるしかない」と決意。融資を受け、商品を届けました。この仕事は継続され、今や阪和紙業社の売り上げのメーンに。「会社は、自分が作った商品を必要とするお客さんのために存在する。『ここでしかできない』と言われる仕事をしたい」と考えるようになりました。

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徹底した品質管理で顧客の信頼を得て下請け脱却を実現しています

 同業15社まとめ仕事を支え合い
 藤川さんは2000年、関西の同業・関連業者15社でつくる団体、「KPネット」の立ち上げに関わり、今年4月まで事務局長を10年間勤めました。「もはや、元請けが下請けを守ってくれる時代ではない。無権利状態の中小業者は、情報がなければ経営も自分も守れない」との思いからでした。
 同業種で話し合うことで、仕事の回し合いや一社ではできない大口の仕事も受けられるようになり、自社の特長も明確になったといいます。また、仲間の頑張りに刺激を受けて、自ら「戦略的」というホームページも作成。「フィルムテープの専門家」の打ち出しでフィルムの特性や情報を豊富に掲載し、ネットを通して日本全国から注文を受けています。

 本質をつかむ力青年部で培った
 「本質をつかみ、未来をつくる力」は、25歳で住吉民商青年部に入ってからの民商運動で培われてきました。大商連青年部協議会の会長も務め、消費税導入時には、仲間とともに東京まで手作りの神輿を運び込み、抗議しました。ベテラン役員との学習を通し、今起きている問題の根本は何か、理解し改善するすべを身につけ、「民商は他の経済団体とは違う。話し合って要求を出し合って、歴史を作っていく」と実感。「中小業者にはものを作り、生きていく技術がある。それなのに、必要最低限の権利がはぎとられている。そんなんおかしいやろ」。自治体や国との交渉で藤川さんが訴える言葉には、経験からくる切実な思いが込められています。
 全商連第51回定期総会で、全商連副会長に選出されました。6月19日、東京のJR目白駅前で行われた集団的自衛権の行使容認の改憲策動に反対する宣伝では、他の三役とともにマイクを握りました。
 「憲法9条は外国で活躍する商売仲間も守ってきてくれた。集団的自衛権の行使も消費税の増税も本質は同じ。庶民の生活を見ていない」
 訴えには、仕事に対する誇りや仲間に対する信頼、弱い立場の人たちへの優しさがにじんでいます。

▽株式会社阪和紙業社
大阪市東住吉区住道矢田8の11の23
TEL 06-6702-0549 ホームページは「阪和紙業社」で検索

全国商工新聞(2014年7月7日付)
 
   

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