富士山貯金箱 脱下請けめざし共同開発=静岡
静岡・沼津民主商工会(民商)の会員2人が、新製品の「FUJISANいっぽ」を共同開発しました。設備工事業の黒川徳明さんが製作し、アイデアを出したハウスクリーニング・サービス業の廣井仁利さんが販売を担当。新製品には「夢を持ち、実現に向けて努力を重ねる大切さを伝えたい」、そんな願いが込められています。
完成した「FUJISANいっぽ」を手に笑顔の黒川さん(左)と廣井さん(富士市、2月1日)
地元信金から商談
「これ、貯金箱なんだ」「おもしろいね」。2月1日、富士市で開かれた富士山グッズの展覧会(県主催)で、お披露目された富士山型の貯金箱は子ども連れの来場者などから注目を集めました。
貯金箱の貯金スペースは、透明プラスチック板の3重構造で高さ約21センチ、厚さ1センチ。板と板の間に夢などを書いた紙を入れて使います。硬貨を入れると2合目、3合目と積み重なり、貯金の進み具合が分かる仕組み。「いつも目標を意識し、毎日の積み重ねが見えるようにした貯金箱。頂上まで積み上がると達成感があり自信につながる」と黒川さんと廣井さんは来場者に説明します。息子と会場を訪れた富士市在住の来場者は「子どもに使わせたい。地元の企業から富士山モチーフのグッズが発売されることで、地域も注目され盛り上がる」と購入。地元信用金庫からも商談が持ち上がっています。
子ども連れが多く訪れた有限会社サンクの展示会ブース
夢実現へ一歩前進
「個人のお客さんへの仕事は初めて」と話す黒川さんは、沼津市内で「黒川製作所」を経営。10年前に父親から会社を継ぎましたが、仕事は下請けのみで売り上げが不安定でした。昨年6月、「下請けから脱却したい」と個人向けの自社製品の製作を開始。世界遺産に登録された富士山をモチーフに製品製作を進め、民商の集まりで披露した際、廣井さんが貯金箱の製作を提案しました。
廣井さんは「ドリームマップ普及協会」が進める小学校での課外授業の講師として活動。「子どもには、みんな優れた能力がある。目標を持ち努力を重ねて達成することで、自己肯定感を持ってほしい」という願いから生まれたアイデアでした。
二人は廣井さんのコンセプトで商品化するため、すぐに打ち合わせを開始。週に一度進捗状況を確認し、半年間の試行錯誤の末、一人ひとりがオリジナルで使える今の形が出来上がりました。
「仲間に支えてもらい製品ができて、自信がついた。改良を重ねて役に立つものを作りたい」と話す黒川さん。廣井さんは、思いを伝える絵本も同時に製作し、貯金箱とセット販売を開始。「お客さんや子どもたちの笑顔を見られることが心からうれしい」と声をそろえる2人の夢も一歩一歩実現に向かっています。
問い合わせ先…有限会社サンク
Tel:055-951-1889 ホームページ:sunc-dan.com
全国商工新聞(2014年2月17日付) |