スクール・ニューディール 京都府が分離・分割発注へ
京都府はスクール・ニューディール構想に基づく府立高校へのパソコン調達について、八つの高校通学圏ごとに分割して入札することを明らかにしました。6月23日の府議会で、日本共産党の原田完府議の質問に答えたもの。京都府商工団体連合会(京商連)が、府電機商業組合などとともに「一括発注でなく分離・分割発注を」と求めてきただけに、「府政の姿勢を転換させた大きな成果」との声が上がっています。
「地元企業優先の分離・分割発注を」と要請する京商連(左から2人目が伊藤邦雄会長、3月)
問題になったのは、総額3億8000万円に上る教員向け2500台のパソコン調達と校内LAN工事。
黒瀬敏文総務部長はパソコン調達については3000万円を上回り「WTO(世界貿易機関)案件に該当する」としながら、「地元企業の参入機会の確保にも資するという観点から、分割して入札する方向で準備を進めている」と答弁。またLAN設置工事については、府内業者による指名競争入札を実施すると表明しました。
同構想のデジタルテレビなどの調達をめぐり、京都府はこれまで「WTO特定調達で分割発注は原則禁止されている」と一括発注に固執し、2月の府立学校のデジタルテレビ191台の調達では、「分離・分割」発注を求めた京商連の要請を拒否し、一括発注を強行。その結果、都内に本店のある大塚商会が“独占”落札しました。
京商連は「大企業の独り占めに手を貸した京都府は異常」と抗議。3月26日には、京都府電機商業組合とともに「地域でできる仕事は地域に」「地域活性化につながるよう入札方法の改善を」と要請するなど「地域の中小企業の受注機会の増大に努める」とした同構想の趣旨に基づく入札改善を求めてきました。
同構想をめぐる入札問題は4月の府知事選でも大きな争点になったほか、国会でも日本共産党の吉井英勝議員が追及。分離・分割発注してもWTO協定違反にならないことが明らかになっています。
市の契約 公平性に問題
京商連が追及
京都市は学校へのデジタルテレビなどの調達で、地元企業優先の地域要件設定を拒否し、WTO協定を口実に一般競争入札を行ってきたにもかかわらず3月11日、8校分59台についてだけ市内企業と随意契約を交わしていたことが京商連の調査で判明。またその際、仕様書と合致しない品物を納入していたことも分かりました。
京商連の申し入れに対し、市は仕様書と異なった品物が納入されていたことを認めたものの、「なぜ随意契約にしたのか」明確に答えておらず、引き続き事実究明をしていくことにしています。
業界幹部が喜びの声
一緒に頑張り正論が通った
京都府電機商業組合理事長 牧野伸彦
スクール・ニューディール構想の趣旨はそもそも地域の活性化、中小企業の受注機会の増大だ。京都府の変化はそれに沿ったものであり、評価している。京商連の皆さんと一緒に頑張ってきてよかった。正しいことは正しい。これが通ったということだ。
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