京都府電機商業組合が入札改善求め府に要請
「京都府のやり方は納得できない」‐スクール・ニューディール構想の入札問題で3月26日、分離・分割発注を求め初めて京都府に申し入れを行った京都府電機商業組合(組合員数635人)。牧野伸彦理事長にその思いを聞きました。
スクール・ニューディールの入札問題で
京都府電機商業組合 牧野伸彦理事長に聞く
「一括発注は納得できない」と語る牧野理事長
スクール・ニューディール構想というのは、地上デジタル(地デジ)テレビの導入をはじめ学校のIT化の推進ですね。確かにそういう目的もありますが「中小企業の受注機会の増大に努め…地域の活性化に資するように」と、文部科学相が自治体に通知しているように、この構想の大きな目的は中小企業振興、地域経済の活性化にあると考えています。ヤマダ電機本社がある群馬県高崎市では電機商組合の高崎支部が地デジテレビを落札していますし、私の地元宇治市でも4分割の入札を行って、地域の電器店が仕事をとっています。
当然、京都でも地元に仕事が落ちるものと期待していました。ところが京都府は、地デジテレビを分割することもなく一括で発注した。その結果、落札したのは、東京に本社がある大塚商会です。驚きましたね。これは納得できない。府に申し入れたのも、通知の趣旨にのっとって京都府もやってくれということなんです。
大きい仕事は大手に、小さい仕事は中小に、ということではいつまでたっても中小企業の振興はもちろん、地域経済の振興にも結びつきません。地元の電器店が落札したところでは、組合員が協力して設置の仕事を手伝っているところもあります。これこそ、本当の地域経済の活性化ではないでしょうか。
条件のない入札で物を言うのは価格です。大手量販店の価格は驚くほど低い。価格では地域店は対抗できません。この低価格問題は、不当廉売に当たるとして、組合が何度も訴えてきた問題ですが、公正取引委員会はまったく動いていません。
いま、地域の電器店は、人の3倍働いてやっと生業を立てているのが実態です。しかし地域の電器店はなくてはならない社会のインフラだと考えています。国策に基づき、完全デジタル化に伴う高齢者への周知活動を進めてきたのも私たち組合です。町内会長や学校のPTA役員もやって地域を支えています。地域経済だけでなく、地域そのものを支えているのです。
自由化の下で、ガソリンスタンド、酒店、米店などがどんどんつぶれ、商店街そのものが疲弊しています。そのなかで、電器店は踏ん張っている。これがつぶれればもう津波に巻きこまれるように地域経済は総崩れです。
だからこそ今、みんなが力を合わせる時ではないでしょうか。地域の電器店が頑張ることで、いろいろな小売店も元気になり、地域が活性化すればと考えています。そのためにも中小企業の振興につながる入札を望みたい。今度の知事選では重点政策としてどの候補にも掲げてほしいですね。
京都府 「仕事回るようにしたい」
府電機商組の要請に
地域活性化のため「分離・分割発注を」と要請する京都府電機商業組合(右から)牧野、藤井、花村、鈴木の各氏
京都府電機商業組合が京都府に行った申し入れ(3月26日)は、4月に予定される府立高校へのパソコン入札に当たり、雇用確保・地域振興の立場から「一括方式でなく、分離・分割発注」にするよう求めたもの。
申し入れには牧野伸彦理事長はじめ、藤井満夫、花村錦一両副理事長と鈴木恒行事務局長の4人が参加。府労働総務課など関係部署を回り要請しました。
同構想に基づく地上デジタルテレビの入札(2月22日)で、京都府は分離・分割を求める業者の声を無視して一括発注を強行。その結果、府外企業である大塚商会(本社・東京)が独占落札、まちの電器商からも批判の声が上がっていました。
牧野理事長らは、一括発注した府のやり方を批判。分離・分割発注の事例をあげ、「地域の中小企業の活性化につながるよう入札のあり方を変えてほしい」と強く求めました。
産業労働総務課の瀧山裕介参事は「中小企業の受注拡大につながることが大事。仕事が回るようにしていきたい」と答えました。
要請には京都府商工団体連合会(京商連)の坪井修事務局長、松家幸男元府電機商組専務理事(京商連相談役)が同行しました。
府知事選で門候補
入札方式改善を公約
京都府知事選挙(4月11日投票)は、京都府商工団体連合会(京商連)も加盟する「府民本位の新しい民主府政をつくる会」の門ゆうすけ候補(54)=無新、医師=と、自民、民主、公明など府政「オール与党」が相乗りで支援する山田啓二氏(55)=無現=との対決になっています。
門候補は、医師の立場から高すぎる国民健康保険料の引き下げ、子どもの医療費無料化とともに、地元企業支援をマニフェストで公約。学校への地デジテレビ導入でも、現府政による一括入札強行を批判し、「地域要件を設けて地元業者育成型の仕組みに変える」と訴えています。
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