スクール・ニューディールに基づく分離・分活発注にWTO違反事例なし
スクール・ニューディール構想に基づく地デジテレビの入札に関連し、自治体が地元中小企業に100%発注しても、分割発注してもWTO協定違反にならないことが、3月26日の衆院経済産業委員会で浮き彫りになりました。日本共産党の吉井英勝衆院議員が質問したものです=写真。
WTO協定は一定基準額以上の政府調達の物品・サービスについて、国内外の企業が無差別に参入できるようにするもので、国や都道府県、政令指定都市(一部)に適用されます。
吉井議員は、文科省が作成した資料をもとに、青森県など5県が地元中小企業に100%発注し、愛知など5県も90%台に上ることを紹介。その上で外務省にスクール構想の入札にかかわり海外企業からWTO違反と指摘された事例が全国であるかとただしました。
さらに高校への地デジテレビの一括入札を強行した京都府では地元中小企業の発注率が全国平均の51・4%を大きく下回る32・8%にすぎないことを指摘。山田啓二知事が議会で「分割発注すればWTO違反になるから危険だと文部省から指導された」と答えていることにも触れ、文科省に事実関係をただしました。
外務省は「外国企業から苦情を受けたという事例は承知していない」と答弁。文科省は府から問い合わせがあったことを認めた上で「WTO協定ではこの協定の適用を回避する意図の下に分割してはならないと回答したが、分割一般についていい悪いと申し上げたのではない」と回答。地元中小企業への100%発注であっても分割であっても問題ないことが明らかになりました。
さらに吉井議員は大手量販店が落札したテレビなどの設置工事の単価をたたいて下請け業者にやらせている実態を告発。「分離分割発注と優越的地位の乱用を許さない取り組み」を迫ると、直嶋正行経産相は「中小企業による受注を考えれば、一括発注ではなく、小口化(分離・分割)していくことになる」「受注機会を拡大していくという趣旨に沿った対応をしなければならない」と答えました。
|