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  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第2904号 11月23日付
 
業種 製造・小売
 

食の安心・安全を守れ=築地市場移転撤回を求め運動


 「毒にまみれた土地に市場は移転させない」―。東京都民の食生活を支え、流通の拠点として発展してきた東京築地卸売市場。魚河岸の名で親しまれています。石原慎太郎知事が江東区豊洲への移転を強行しようとしていますが、市場内の仲卸業者や労働者が反対の声を上げ、10年来のたたかいを継続。東京都議選挙、総選挙と二つの選挙をたたかい、移転阻止の可能性が大きく広がっています。


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東京都民の食生活を支える築地市場

 築地市場の豊洲への移転計画が持ち上がってから10年が経過。直後から移転先の東京ガス工場跡地の土壌汚染が問題になり、市場内の仲買業者はもとより消費者団体や都民から反対の声が上がっていました。ベンゼンが環境基準の1500倍、シアンが490倍―。東京ガスが01年に公表した土壌汚染の事実はあまりにも衝撃的で、移転への厳しい批判が一気に広がりました。しかし、石原都知事と都議会の自民・公明両党は移転強行を貫いてきました。

 二つの選挙が事態を動かす
 事態が動いたのは7月の東京都議選。与党の自民・公明が敗北し、都議会は移転推進派61議席、反対派66議席と勢力が逆転。さらに総選挙では「移転反対」をマニフェストに掲げる民主党が大勝し、同党を中心とする新政権が誕生したのです。
 赤松広隆農水相は就任直後の9月24日、築地市場を視察し、マスコミに対して「私自身が納得できない限り(新市場建設に)サインしない」との考えを示しました。中央卸市場開設の許認可権を持つ農水相のこの発言は、重要な意味を持ちます。

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 移転反対の先頭に立ってたたかってきた東京魚市場卸協同組合(東卸)の理事で「築地移転を考える会」の理事長・山崎治雄さんは「二つの選挙で風向きが変わった。都議会がようやく真剣に取り組んでくれるようになった。汚染された土地に移転して食の安心・安全は守れない。みんなの力で計画を阻止して築地市場を守る」と言い切ります。「考える会」は東卸の有志200人を組織。これまで、国や都議会への働きかけや移転反対の署名をはじめデモ行進、シンポジウムの開催など多彩な運動に取り組んできました。
 移転計画発表後、市場内は揺れ動いてきました。東卸が98年11月に実施した移転についての全組合員投票では賛成376票、反対495票となり、臨時総代会で移転反対を決定しました。しかし、理事会では移転推進が過半数を占め、現状は変わりませんでした。


 移転反対の動き広がる
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考える会が取り組んだデモ更新(6月)

 異変は今年2月に起きました。理事長選挙で移転を推進する理事長と反対の山崎さんが4回にわたって15票対15票の同数に。5回目にして理事長再選が決まりましたが、移転反対の声が確実に広がっていることを示しました。
 築地市場で働く従業員を組織する東京中央市場労働組合(東中労)も移転反対を掲げ、「考える会」と一緒にたたかっています。
 中澤誠書記長は「築地移転は移転先の土壌汚染から見がちだが、移転問題は国が進める規制緩和の流れの中から出てきた問題」と指摘します。
 この間、規制緩和によって卸売市場法が2度にわたって改悪され、取引規制が大胆に緩和されました。その結果、大手スーパーなどが卸売市場を通さずに直接産地から仕入れを進めたほか、卸売市場内でも売れ筋商品は大手スーパーが大量に確保する事態に。「魚の適正な価格が保障されず、食の安心・安全が脅かされている」との声が市場内では上がっています。

 公共市場の機能を守れ
 東中労は6月20日、農民運動全国連絡会(農民連)や市民団体とともに都内でシンポジウムを開催。パネリストとして参加した東中労の羽根川信委員長は「都は移転を機に築地市場の大規模な拡大を狙い、魚などの価格の安定を保障してきたせりや仲卸を流通から排除し、大手スーパーなどが流通を支配できる体制をつくろうとしている」と告発。移転の裏に隠された本質的な問題を提起し「国と東京都は移転をやめる決断を下し、せりや仲卸の機能が発揮できる公共市場のあり方を追求すべき」と訴えています。
 東京都は移転に伴う予算を来年1月の都議会に提出することを明らかにしており、あくまで推進する構え。しかし、予算案が否決される可能性は広がっています。「移転は反対」の世論と運動に応える都議会の良識ある判断を都民・中小業者は望んでいます。

   
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