|
|
|
愛知・中川民商が「売上激減対策会議」を立上げ
金型設計業者が実践報告 知恵と工夫を交流
輸出不振を理由に大企業が大幅な減産体制に入り、愛知県内ではトヨタ自動車関連をはじめとする下請け業者が危機に立たされています。こんな時こそ必要なのは仲間との結びつきです。中川民主商工会(民商)では製造・金属加工業者が集まり、「売上激減対策会議」を開催。仲間同士で知恵と工夫を出し合って困難を乗り越えようとしています。
「対策会議」は、昨年11月から毎月開かれています。1月23日には15人が参加。対策会議を開くことを提案したSさんの話に注目が集まりました。これまでは4社だった取引先がなんと19社に増え、1カ月200万円〜250万円の売り上げが、11月には580万円と2倍以上になったというのです。
話を聞くと―。金型設計・製作・精密部品加工を専門にする会社を経営しているSさん。昨年5月ごろから金型の仕事がなくなり、困り果てていたところ、民商の仲間から「(財)あいち産業振興機構」を紹介されました。同機構は中小業者への発注や受注者情報を紹介し、取引をあっせんします。
会社概要作成し営業活動に全力
Sさんは「これからは親会社からの仕事を待っているだけではダメだ。取引先を開拓しなければ」と同機構に受注者登録。同時に会社概要を作成して営業活動に力を入れ、親会社を含めてこれまでの取引先をくまなく回りました。
営業で心がけたのは加工した部品や設備を会社概要で紹介し、具体的に自分ができる仕事をアピールしたことと、「精度を高めてほしい」などの要望には惜しまず応えることでした。熱意と誠意が伝わり、「うちには仕事がないが、あそこに行ってみたらどうか」と紹介が広がるとともに、受注者登録を見て電話も入るように。自社だけでは間に合わず、外注を探すのに苦労するほどの受注を確保しました。
「断ると仕事は来なくなるので、何でも受けた。営業に回るときに会社概要があると相手の反応が変わって話を聞いてくれる」とSさんは強調します。
仲間に仕事を回せればと…
|
12月に開かれた2回目の対策会議 |
納期に間に合わず、数百万円の仕事を外注に出した時のことです。「この仕事を民商の仲間に回したら、お互いに助かるのに」と悔しい思いをしたといいます。しかし、民商に長年入会しているものの、仲間がどんな仕事をしているのか分かりません。対策会議を開くことを提案したのも「会員がお互いの仕事をもっと知っていれば…。大変な時だからこそ、みんなで知恵を出し合って仕事を回し合いたい」との思いからです。
Sさんの願いが実現し、対策会議に参加したKさんに仕事を回すことができました。Kさんは2回目の対策会議でSさんの話を聞いてさっそく会社概要を作成。参加者に配りました。「12月半ばから仕事がなくなり、途方にくれていた。一人ではどうしようもない。対策会議に参加するようになって相談もできるし、仕事も受注できて良かった。民商の仲間は心強い。ロケット部品加工の注文も入りそう」とうれしい報告をしました。
世界的な金融・経済危機が起きた昨年10月ごろから、民商では「仕事がなくなって大変」との声があちこちから聞かれるようになりました。とりわけ、トヨタ関連の下請け業者の売り上げは大幅に減少。会内には「何とか仕事を確保したい」との思いがあふれ、「対策会議」が待たれていました。
学習も重視業者の役割確信
「対策会議」ではお互いの状況を出し合いつつ、学習を重視。ドイツでは操業短縮で雇用を守り、国が補助金を出していること、EUでは小企業憲章を制定し、中小業者が欧州経済の「背骨」「雇用の主要な源泉」であり、「ビジネスアイデアを育てる大地」と位置づけて中小業者への支援を強化し企業数が増えていることなどを学びました。
参加者からは「中小業者の役割をあらためて確信」「情報交流の場としての民商があって良かった」などの感想が出されました。対策会議終了後も、「試作品のプレスをしたいので機械を貸してほしい」など個別の話が弾んでいました。
|
|
|
|
|
|
|