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シリーズ 負けてたまるか高騰対策C
自主計算を力に価格転嫁の交渉に説得力
単価計算の正確さがカギ
岸和田市の山手に370坪の敷地を構える旭金属工業所。Aさんは妻と長男の3人で、大手メーカーの孫請け(得意先は1社)として、NC旋盤8台で農機具部品などを製造しています。
今の工場を購入したのは、11年前。「長男が小6になった時、作文で『うちを継ぐ』って書いたのを読んで、胸が打たれてね、それこそ頑張ってやりましたよ」と振り返ります。
ややこしい加工も断らない
経営に影を落としているのが原油高騰による資材の値上げです。4月に鋼材がキロ22円、その1カ月後にまた15円と、一気に37円も上がりました。
Aさんは値上げに流されるのではなく、今回の高騰をきっかけに親会社と価格転嫁について交渉。また、仕入先2件とは「全部は無理」でしたが、500キロ、1トン単位のまとめ買いで5円引きに。これで高騰37円分のうちAさんの負担はキロ4円に抑えることができました。
こうした交渉ができたのもこれまで培ってきた親会社との「信頼関係」。その理由は大きく二つあります。
一つは仕事での信頼です。
親会社とは25年の付き合いで、20年前から続く単価の安い商品も「正確にキチンと納入していること」。また、計算がややこしくよそでは敬遠される加工(例えば球面と平面を削ると同時にエッジを取るなど)も「請けた仕事は断らない」を信条に挑戦。三角関数などを独学し、エクセルで自ら計算式を作成して、幅広く手がけています。
部品ごとに単価を算出 ここが運命の分かれ道
信頼のもう一つは、自主計算に基づく正確な単価計算です。
これもエクセルで独自の計算式を作成。鋼材の種類によりキロ単価・径・長さ、加工時間、加工時間単価(ここに自家労賃を含めている)を入力することで、種類ごとに単価を算出します。「一見同じような部品でも、何であっちが安くてこっちは高いねん!となる。そんな見積りは、気持ち次第で何ぼでも変わるもんですわ」
元請けの言いなりになるか、逆に信頼されるか‐。「当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、正確な単価計算をできるかどうかが、信頼をかちとる分かれ道なんですよ」とAさんはいいます。
それでも「今の政治は異常」というAさん。「資材の高騰にもいっさい手を打たない。今は商売は順調やけど、これ以上不況になれば一体どうなるのか。国民に見えない、訳が分からない政治をやめてほしい」と語ります。
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