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変わる業界 ネイルアート急成長するネイル業界
開業めざす女性が急増
日本ネイリスト協会 信頼性向上へ活動強化
「つめ先までおしゃれをしたい」。若い女性たちの指先を見ると、色鮮やかなカラーリングにラメやビーズなどをあしらったネイルがキラリ。奇抜だと思われていたネイルアートは今やヘアスタイルや洋服、アクセサリーと同じようにごく普通のファッションに。ネイルを楽しむ女性が増えるとともに、ネイリストを職業にし、サロンを開業する女性たちも増えています。「苦労も多いけど、やっぱりネイルが好き」という女性たちの活気で、ネイル業界は急成長中です。
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昨年11月に開かれたインターナショナルネイルエキスポのステージ風景(NPO法人日本ネイリスト協会提供) |
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カラーグラデーションや好みのデザインで仕上げるネイルアート。その日の気分や服装によって楽しみ方もさまざまです |
ネイル産業が日本に根付いたのはここ十数年のこと。90年代に入ってからデパートの一角にネイルバーが設けられるなど一般の人たちが入りやすいサロンができ、雑誌でも取り上げられ、専門誌も発刊されるようになりました。
90年代後半以降、ネイルは爆発的に広がり、ブームを巻き起こしました。それと同時に、ネイリストをめざす若い女性たちが急増しました。
その背景について「日本ネイリスト協会」(JNA)のK事務局長は「女性が社会に進出するようになり、なにか手に職をつけた仕事をという女性が増えた。OLをしながらネイルスクールに通い、技術を身につけられるのも魅力になっていたのでは」と指摘します。
JNAによると、ネイル産業の市場規模は約1000億円。ネイルサロンは約8000軒で、ネイリスト約3万人のうち9割が女性と推定されています。同協会は健全なネイル産業の発展を目的に1985年に設立され、06年にNPO法人になった業界では最大の組織。法人360社、個人2万5000人が会員として加盟し、ネイル技術の講習や技能検定試験の推進、情報提供、技術の研究・開発、雇用機会の支援、消費者保護などの活動を進めています。
女性の頑張りが業界を支える
東京都港区で「MJネイル」を経営するJさん(44)はサロンを開業して12年。JNAの会員で、本部認定講師資格を取得しています。つめが小さくてコンプレックスを感じていたJさんは、20代半ばに初めてネイルをやってもらったときの感動がネイリストの出発点に。「長くてきれいになったつめを見た時の感動は今も忘れない。気持ちが前向きになって、この喜びを人に与えることができたら、どんなにうれしいか」と振り返ります。
30歳を機に仕事をしながらネイルスクールに通い、オーストラリアやアメリカ・カリフォルニア州でも勉強するなど、苦労を重ねてサロンを続けてきました。「初めはお客さまがつかず、ネイルの収入では生活できなかった」と言うJさん。いまではネイルスクールの講師やメーカーのインストラクターも務めています。「苦しくても続けること。初心と向上心を忘れずに頑張れば、結果はついてくる。でも、競争も激しく、流行も早い。努力を怠れば、置いていかれる。それはどの世界も同じ」と厳しさを指摘します。
「NAIL ROSSO」のKさん(35)は5年前に「浅草店」、2年前に「上野店」をオープン。「いつかはスクールを」とJNAに入会しました。現場はスタッフに任せ、Kさんはもっぱら経営とスタッフ育成に心血を注いでいます。「開業して穏やかな日はないし、経営も決して楽ではない。でも、もっとたたかえると思うから頑張れる。鍵はスタッフ。人を育てなければ経営は伸びない」と強調します。
3店舗目の開業を視野に入れ、ネイルに加えてクイックマッサージなどトータルな店づくりを考えています。
一見、華やかに見える世界ですが、厳しい現実を乗り越え、踏ん張る女性たちがこの業界を支えています。
技能検定試験に4万5000人
JNAにとってネイリストの育成は不可欠な課題で毎年2回、3級から1級までの「JNAネイリスト技能検定試験」を実施しています。97年の初年度、800人だった受験生は昨年度、4万5000人になりました(表参照)。その上に認定講師資格試験があります。1級以上になると、合格はかなり難しく、2度3度と挑戦して資格を取得しています。
さらに毎年7月に、大阪で「アジアネイルフェステイバル」、11月には東京で「インターナショナルネイルエキスポ」を開催。セミナーやコンテスト、トレードショーなどさまざまなイベントを企画し、全国のネイリストが参加しています。年々、企画の規模や来場者は増え、昨年の「ネイルエキスポ」は3万8000人が来場し、入場制限をしたほどの盛況ぶりでした。
経営指導なども視野に入れて
一方で業界の発展とともに、消費者からの信頼性を高めることが重要になっています。ネイル愛好家が安心して利用できるようにJNA登録ネイルサロンを積極的に推進するとともに、経済産業省などにも働きかけ、サービス産業としての健全な発展と認知度の向上に向けての活動を続けています。
また、技術面だけではなく、経営力を高めるためのセミナーなどの必要性が高まっています。「ネイルサロンは、テーブルと技術と材料があれば始められ、開業へのハードルは比較的低い。しかし、経営を続けるためにネイリストへの指導・援助をJNAとしても強めることが必要」とK事務局長は実感しています。 |
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