厳選素材のイタリアン 地域のつながり大切に=kitchen ARAGUSA
地産地消、無農薬の野菜と米など安全な食材を選びアレルギーにも対応――子どもから大人まで安心できるメニューが評判のイタリア料理店「kitchen ARAGUSA」。愛知・名古屋東部民主商工会(民商)の加藤三重子さんと母・綾子さん、息子の主馬さんの親子3代で力を合わせています。「地域の人々、業者同士のつながりが何よりも大切」と店を開放し交流の場を提供。新しい共同の輪を広げています。
親子3代でARAGUSAを営む三重子さん(右)綾子さん(中央)主馬さん(左)
白い壁が印象的なARAGUSA(アラグサ)。店内は木のぬくもりが感じられるつくりです。
イタリア料理店の競争が激しい名古屋・池下にあって、多くのお客さんに親しまれています。
お昼の人気メニューは、自家製カニクリームコロッケ。カニを何時間も煮込んでだしをとった特製ソースが絶品です。加藤さんと綾子さんの「おふくろの味」が楽しめる手作り総菜とみそ汁も女性客を引きつけています。
夜は、季節の旬な食材をふんだんに使った本格的イタリア料理を主馬さんが提供。ちょっとぜいたくなシェフのおまかせディナーコースや手ごろな値段のパスタメニューなど、家庭的な雰囲気で味わう料理は「やさしい味」と喜ばれています。
ゆったりとした時間を過ごした参加者
安心・手作りにこだわり持って
主馬さんは「食の安全が問題視されている今、安心して食べられる手作りにこだわりを持ちたい」と話します。
愛知県連婦人部協議会の会長を務める加藤さん。「地域を元気にするには、業者同士がつながり合うことが大切。それぞれがもっている力を生かして地域の人ともつながることが大切」と考えています。
そこで、加藤さんのアイデアで09年2月から近所の生花店「燕屋」と協力し、「ティータイム&フラワーアレンジメント」をスタート。地域の人たちに店を開放しています。季節の花を作品に仕上げた後、季節の果物を使った主馬さん自慢のデザートが振る舞われ、心休まる時間を過ごせるというもの。
加藤さんは、高齢化が進む地域の中で一人暮らしのお年寄りが増え家に引きこもりがちになっていることに心を痛めていました。「一人ぼっちで食事をすませ、人と交流する機会も少なくなっているのでは」と、お年寄りの孤独感を感じていたといいます。
おしゃべりを楽しみながらのフラワーアレンジメントは笑顔があふれます
月に一度の教室心待ちにされて
ARAGUSAに通う一人暮らしの70代の女性は「加藤さんに声を掛けてもらい、楽しみが一つ増えました」と話します。フラワーアレンジメントを通して多くの人たちと触れ合う場になっています。昨年から教室に参加をしている村井祥子さんは「肩ひじ張らず、参加しやすい。花と会話、おいしいデザートも楽しめてうれしいことばかり」と、月に1度の集まりを心待ちにしています。
加藤さんは「私たち中小業者は地域の人たちに生かし生かされていることを忘れてはいけない」と実感しています。
燕屋とARAGUSAのコラボレーションメニュー
民商婦人部の再建から本格的に民商運動に携わった加藤さん。「まちづくり」や「仕事おこし」の運動では、異業種とのコラボレーションなど新たな可能性に挑戦を続けています。
「厳しい今を生き抜くためには経営努力、経営センスを磨き商売を発展させていくことが中小業者に求められている」-民商運動で培った経験を生かし、地域の信頼を得ながら商売の輪を広げています。
kitchen ARAGUSA(キッチンアラグサ)
創業=1969年、07年 定食屋からイタリア料理店「kitchen ARAGUSA」へリニューアル
事業内容=洋食、イタリア料理
従業員=6人
所在地=愛知県名古屋市千種区春岡1の4の13 TEL:052-763-2504、ファクス052-763-2503
ホームページ:http://www.aragusa1969.jp/
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