料飲街に活気 夜の街オリエンテーリング
料飲街に活気とにぎわいを-各地の民主商工会(民商)は、不況に苦しむ料飲業者を励まそうとイベント「夜の街オリエンテーリング」に取り組み、さまざまな工夫で地域に元気を与えています。
「いいだ夜の街オリエンテーリング」 1000人つどう=長野・飯田
「夜の街を楽しもう」と1000人近い市民が集まるイベントがあります。長野・飯田民主商工会(民商)が主催する「いいだ夜の街オリエンテーリング」(オリエン)です。すでに10回を数え、飯田市も市長を先頭に後援。タクシーやビール会社も協賛するなど地域に定着・発展しています。
節目となる10回目のオリエンが開かれたのは10月26日。集合場所は飯田中央公園で、スタート(午後7時)前には事前に参加チケットを購入した870人が集まりました。
参加店舗は“丘の上”と呼ばれる中心商店街で営業する約400店のうち87店。65店舗は民商に入会していない業者です。参加人数、店舗とも過去最高を記録しました。
870人が集合したスタート地点(飯田中央公園)
元気になります
「普段人通りが少ない道を何百人もの人がいっせいに歩いてくる。もう壮観ですよ。それだけで元気になりますね」とスナック「愛里」を経営する常盤敦子さん。10回すべてに参加しています。
一人3000円の参加チケットを事前購入し、グループ(5人まで。1人でも可)で指定された4店舗を回るのがルール。制限時間は2時間。1店舗あたりの滞在時間は20〜30分で、このわずかな時間でお客にどうアピールするかが、店にとっての“勝負”です。
「2時間の間に40人を超えるお客さんが来る。忙しいけど元気になる。不景気だからなおさらだね」と弾む声で話すのは小料理屋さん。飲み処では「お通しにも気を使うし、自家製の梅酒も出しているよ。いいリピーターがつけば、またお客さんを連れてきてもらえる。高い広告を出すよりいいからね」と言います。
参加者に当日手渡されるオリエンマップには、店ごとの「ひとことアピール」を掲載。これを参考に参加者は、おいしい料理とお酒を求め目当ての店へ。4店舗回ることで新しいお店の発見、そしてママさんなどとの会話を楽しみます。
当日参加者に配られるマップ
一緒に楽しんで
「オリエンが定着・発展したのは、実行委員が参加者と一緒に楽しんできたからですよ」と飯田民商副会長でオリエンテーリング実行委員長の坂下一明(54)さんは言います。
もともと厳しい状況が続いていた飲食店街をなんとかしたいと始まったオリエン。当時民商会長だった礫石孝夫さんを先頭に会員の店舗を訪問し、参加を呼びかけました。
最初のオリエン(03年10月)は25店舗、150人の参加でしたが、回数を重ねるごとに新しい試みや工夫に取り組んできました。
▽実行委員を増やし、店の負担となっていたチケット販売を民商中心に販売▽会員の店だけでなく、すべての店舗に参加を呼びかけるチラシを配布▽7回目からメールを使った情報を一般参加者にも発信-など。
予想超える反響
こうした取り組みの中で予想を超える反響が広がり、職場でオリエン参加の回覧が回ったり、車のセールスマンが「お客から頼まれた」といって民商にチケット購入を申し込んできたことも。酒屋さんの紹介でアサヒビール、キリンビールが今回新たに協賛。賞品となるビールや焼酎を提供しています。飯田市の後援、タクシー、代行会社の協賛も4回目以降続いています。
オリエン参加を楽しみにしているという牧野光朗・飯田市長も期待のメッセージ(別項)を本紙に寄せました。
タクシー会社社長は「民商のおかげで金曜日、土曜日よりも平日行われるオリエン当日の方が忙しくなった。年4回ぐらいはやってほしいね」と要望するほどです。
「オリエンは経営を見直すいい機会。お客の店に対する評判から、経営のあり方、経営者同士の交流も考えたら」との提案も参加店から出されています。
先の坂下副会長は言います。「オリエンが地域の宝となれるように多くの人たちと一緒に考え、地域経済の活性化にもつなげたい。民商も大きくしたいですね」
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まちづくりに息吹
牧野光朗市長のメッセージ
年2回の開催が定着してきた「いいだ夜の街オリエンテーリング」。「街がにぎやかになるようなことをしてみよう」という提案が、この活動のきっかけだとお聞きしています。
地図を片手に四つの店を回ってみると、お店の方や他の参加者の皆さんとの間で、いろいろな情報を交換したりして交流を楽しむことができます。私も参加できるときには必ず出席するようにしています。
こうした人と人との交流が、中心市街地の活性化に果たす役割は大きく、まちづくりにまた新たな息吹を吹き込んでくれることを期待しています。
「うまい、安い、最高」 福島安心の店ネットワーク=大阪・福島
スタンプラリーのメニュー例
「うまい、安い、最高」「新しい店が発見できた」「おなかもいっぱいで大満足」「忘年会でも利用したい」―。大阪・福島民主商工会(民商)の会員で構成する「福島安心の店ネットワーク」は11月20日、「第3回夜の街オリエンテーリング飲食店スタンプラリー」を行いました。32店舗、140人が参加するなどにぎわいを見せ、夜の街に活気をもたらしました。
参加者は事前に3000円の参加券を購入し、3〜4人の組で2時間で3店舗を回ります。
スタートでは日本共産党の山田みのり大阪市議候補があいさつ。すし店の若女将の開会宣言で参加者はいっせいに夜の街に飛び出しました。
各店舗は限られた予算を使い、「食い倒れの大阪」にふさわしいアイデアで多彩なメニューを準備。参加者もおいしい料理に舌鼓を打ち、「おいしくて満腹になった」と笑顔いっぱい。ママさんたちも忘年会、新年会の利用を売り込みながら参加者と言葉を交わし、新しい出会いとつながりをつくっていました。
3000円から1万円までの飲食券が当たるゴール後の抽選会は、日本共産党の清水ただし元市議の爆笑トークもあって大盛り上がりでした。
78人から集まったアンケートでは66%が「次回も必ず参加する」と回答。お店のサービスについても「非常に良かった」「満足」を合わせると、73%になりました。
「福島安心の店ネットワーク」では、ラリーを機にネットや料飲マップを活用した宣伝とともに、お客さまに満足してもらうための交流・研修を行っていくことにしています。
「新店見つけた」「また行きたい」 ふじえだ夜のオリエンテーリング=静岡・藤枝
静岡・藤枝民主商工会(民商)は11月16日、「第1回ふじえだ 夜の街オリエンテーリング」を開催しました。初の取り組みで7店舗、64人の参加でしたが、「次回もぜひ参加したい」などの声が寄せられました。
開催場所は飲食店が集中するJR藤枝駅北・南の飲食店街。参加者は事前に2500円の前売りチケットを購入。3〜4人程度のグループをつくり指定された3店舗を2時間で回りました。集合場所のJR藤枝駅北の西友前公園には午後7時の開始前から人だかり。受付でコース表、地図を受け取った後、目的の店をめざしいっせいにスタートしました。
お店では、おいしい料理を楽しみながら、ママさんやマスターと会話。「新しい店を見つけた」「今度も行ってみたい」などの感想が寄せられました。
ボトルキープ券や5000円、3000円、1000円の食事券が当たる抽選会では、当選者の名前が発表されるたびに歓声が上がり、藤枝の夜の街に活気をもたらしました。
藤枝民商では、お客や店から寄せられた要望や意見を集約し「10回、20回と続くような名物企画にしていこう」と話し合っています。
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