商店リニューアルを応援 個店の魅力高め街を元気に=高知県連
高知県は4月、県レベルでは全国初となる商店リニューアル助成制度「店舗魅力向上事業費補助金」を創設しました。店舗の改装やそれに伴う設備の経費を助成するもので、商店街関係者から「画期的な制度」と歓迎の声が上がっています。高知県商工団体連合会(県連)は「地域や商店街の活性化に結び付けよう」と活用を呼び掛けるとともに、予算の増額、制度の拡充を求めています。
県の制度は全国初
商売を後押し
「既存の個店に対する支援はこれまでになく画期的。商店主を元気にし、商売を後押ししてくれる制度ですよ」。こう話す県商店街振興組合連合会の広末幸彦理事長は、「理にかなった制度でもある」と高く評価します。
「店舗魅力向上事業費補助金」(魅力補助金)は、店舗改装や設備費用に関わる経費を支援することで「地域商店の魅力向上」「地域商業の活性化をはかる」ことが目的。20万円以上の店舗改装費・備品購入費用の2分の1を補助するもので、上限は100万円。初年度予算は1500万円(一般会計)ですが、同事業を担当する県商工労働部経営支援課は「これで頭打ちというわけではない」と、今後の事業の展開次第で予算増があり得ることを示唆しています。
補助の対象は(1)商店街などで事業を営み、経営革新に取り組もうとしている(2)5年以上継続して事業を行う(3)店舗面積が1000平方メートル未満-の事業主。商店街・商業集積地に限られ、商工会、商工会議所とともに事業計画を作成・提出することが求められます。
既存店を支援
店舗リニューアル助成の元祖といえば群馬県高崎市。同市の当初予算は1億円(上限は高知県と同じ100万円)。エアコンなどの設備も幅広く対象とされ、「使い勝手がいい」と評判を呼び、申し込みが殺到。予算も4・4億円に膨れ上がり、全国から視察・問い合わせも相次ぎました。
それに比べ、予算も少ない、条件も厳しいのでは ―― 。そんな質問に制度創設の背景に触れ「息の長い制度と考えている」と答えたのが経営支援課の仙波昭司課長補佐です。
高知県は2009年に「産業振興計画」を策定。その中で商店街全体の振興が必要と位置付け、イベントを中心とした商店街全体の「にぎわい創出」とともに個店に着目した商業振興に取り組んできました。
個店への支援事業が、チャレンジショップ事業と空き店舗対策の二つ。
チャレンジ事業は、新規開業や業種・業態を転換しようとする人が「試しに店を開業する」際に支援する制度。空き店舗対策は商店街の空き店舗を利用して開業する場合、一定額を支援する制度です。
「チャレンジ、空き店舗対策という形で個店支援を行う中で、既存店に対する支援も検討できないかという流れが生まれてきた」と、魅力補助金の誕生の背景を説明します。
議会も制度実現を後押ししました。昨年12月県議会で、日本共産党議員が「店舗リニューアル」の実現を迫り、県は「新規出店に加えて既存店舗に対する支援策も検討する」と回答。「店舗魅力向上事業補助金」創設につながりました。
経営の改善へ
県は「この制度は2、3年でやめるつもりはない。階段を上るように検証しながら息長くやっていきたい」と強調。「事業計画」を求めることについては、チャレンジも空き店舗対策でも実績を上げているとし「ガチガチな評価をするつもりはないが、やはり計画は必要。それに中小企業診断士などによる伴走型支援を行うなどバックアップ体制をとる」と答えました。
先の広末理事長は「商店街活性化のためには集客力のある店をどれだけ増やすかが大事。同時に店がきれいになっただけで終わるのではなく、経営改善を進め経営力をどうアップさせるか。それが私たちの課題になるだろう」といいます。
みんなで挑戦
使い勝手の良い助成事業の充実、予算の増額などを求め県と懇談する東谷会長(右から2人目)ら
県が店舗リニューアル助成制度創設を検討すると表明したのを受け、県連は1月27日、知事に対し「店舗リニューアル助成制度実施にあたっての要望書」を提出。対象業者を広げ、家具や電器製品も補助対象とすることなどを要望しました。
4月9日にも東谷勝喜会長、入江博孝事務局長が経営支援課と懇談。予算の拡充や、「使い勝手の良い」制度の改善で率直な意見交換を行いました。
東谷会長は言います。「個店支援にも力を入れてきた高知県らしい歓迎できる制度だ。もっと予算を増やし、多くの中小業者が活用できるように制度の拡充を求めていきたい。仕事おこしのためにも、制度をみんなに伝え、地域と商店街の活性化に挑戦したい」
全国商工新聞(2015年4月27日付) |