住宅リフォーム助成 効果に反響 全20自治体と懇談=愛媛
愛媛県商工団体連合会(県連)と県内民主商工会(民商)は昨年秋、2カ月間かけて県内20の全自治体を訪問、「住宅リフォーム助成制度」の創設などについて首長らと懇談を重ねました。全自治体を一気に回ったのは県連として初めてのこと。「創設を検討したい」と答えた自治体も多く、民商の存在と役割が県内の自治体に広がりました。
県交渉でリフォーム助成の創設を訴える川原会長
要請行動に参加したのは、県内10民商の役員、事務局員延べ92人。県連の川原光明会長と田部浩三事務局長は全ての自治体要請に同行、「日本版・小企業憲章」(案)を手渡し、憲章に基づく政策の実現を訴えました。
要請したのは(1)住宅リフォーム助成制度の創設(2)中小企業振興基本条例の制定(3)小規模工事等契約希望者登録制度の創設(4)震災復興や社会保障を口実とした消費税増税に反対を表明し、政府に中止を求めること―の4項目。
最初に訪れたのは、昨年6月にリフォーム助成を実施した宇和島市と8月に実施した愛南町。2自治体を皮切りに10月末までホテルに宿泊したり、高速船で離島に渡ったり、県内を車で走り回ったりと1カ月間の長丁場の取り組みに。初めて訪問した自治体も8町に上りました。
実施自治体は制度高く評価
宇和島市では、応対した石橋寛久市長らが「こんなに反響があるとは思わなかった。市としては地域の活性化につながると感じている。当初予算は使い切ったので、9月議会で追加した」と笑顔で応対しました。
愛南町では石川芳洋副町長が対応。「この制度はかなり好評。入札参加資格のない業者も利用ができるので、まちの若い大工さんらが仕事を取っている」と強調しました。
稲本隆壽・内子町長(右端)にリフォーム助成制度の経済効果を説明する川原会長(左から2人目)ら
経済効果の高さ大きな表で訴え
川原会長らは訪問の先々で模造紙に大きく書き出した“リフォーム助成制度の効果”を示した上で、「この制度は全国400近い自治体で創設されている。宇和島市では助成の16.7倍の経済効果がある」と強調し、「宇和島市などを視察して、ぜひ実現してほしい」と訴えました。田部事務局長も、秋田県や岩手県宮古市の制度を紹介し、「秋田県の調査では、72%の業者が前年より受注を増やし、98%がこの制度が影響したと回答している」と資料を基に説明しました。
応対した首長や担当部長・課長からは、「地域への波及効果がすごい。良い話を聞かせてもらった」「年度中に実施できないか検討する」「地域の飲食店がどんどん廃業し、このままではまちがなくなると住民も心配している。地域経済を活性化するために、新年度から実施できるように検討してみる」など、大半の自治体が積極的に受け止めていました。
懇談では「初めて民商という業者団体があることを知った。官制の業者団体とどう違うのか」「消費税が大企業にどのような仕組みで還付されているのか」と“逆質問”も出され、商工新聞などの資料も渡し、民商の運動や活動、中小業者の実態などについても、和やかに語り合いました。
昨年11月17日の愛媛県との交渉で県は、「経済効果が大きいことは承知しており、素晴らしい制度だと思う。検討する」と、前向きな姿勢を示しました。
全自治体を訪問した川原会長は「民商の行動が県の姿勢の変化をつくり出した。地域経済活性化に向け、今こそ民商が力を発揮すべき時」と力強く話しています。
全国商工新聞(2012年1月9日付) |