リフォーム助成制度 創設に各地の民商が奮闘
住宅リフォーム助成制度の創設や実現に向けた運動が各地の民主商工会(民商)を中心に広がっています。さらに群馬県高崎市が創設した商店のリニューアルを助成する“商店版”リフォーム制度の創設をめざす行動も進んでいます。
住宅リフォーム助成 1市1町で制度実現=和歌山
和歌山県では高野町で住宅リフォーム助成制度を創設したのを皮切りに、海南市でも実現、橋本市やかつらぎ町でも実現に向けた動きが広がっています。
「リフォーム助成は定住政策の一つなんですが、反響はいいですよ」。高野町でリフォーム助成を担当する町企画財政課では口をそろえます。
同町では今年4月、「住環境整備補助金」(住宅リフォーム助成)を創設。和歌山県内では初めてのことでした。
5万円以上のリフォーム工事を町内業者に発注した場合、工事代金の半分(上限20万円、うち1割は高野町の商品券で支給)を助成するもの。予算は1000万円で、3年間の予定です。創設した4月以降の申し込みは44件。総工事高は2800万円を超え、補助金決定額は770万円に達しました。世帯数1800世帯(人口3500人)の同町にとって、利用率は2%を突破した計算で、町民からも「これはいい制度。助かる」などの声が寄せられています。
かつては真言宗の総本山金剛峯寺の参拝客などでにぎわった高野町ですが観光客も激減、いまでは毎年100人の人口減が続いています。このため同町では、定住対策として、新築・中古住宅購入のための補助金、学齢期の医療費無料化などの施策を実施。リフォーム補助金もその一つとして実施されたものです。
受注の力に
和歌山県連は昨年11月、「リフォーム助成の空白県である和歌山で制度を実現しよう」と、県内の30自治体をすべてを訪問、制度実現を要望してきました。高野町はその際訪れた自治体の一つで、企画財政課では「ちょうどそのとき、私たちもリフォーム助成を考えていたときだった」「和歌山県連の訪問も制度を実現する後押しになりました」と振り返ります。
建築関連の橋本伊都民商会員は同制度をさっそく活用。知り合いのスナックのリフォーム工事を請け負った工務店は「施主の負担が少なくなることはいいこと」と仕事の手を休めて笑顔。
制度利用の第一号となった工務店は、すでに2件目の工事の最中。「補助金の1割を町の商品券にすることで、建築業者だけでなく、ほかの商工業者にもお金が回る。仕事があれば若い人を育てる事にもつながる」と期待を語りました。
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高野町に続いてリフォーム助成を実現したのが海南市。市としては県内トップの実施です。
今年春の市長選で、リフォーム助成の実現を公約した神出政巳市長が当選し、実現したものですが、予算は500万円と抑えられているのが実態です。
このため海南民商は7月23日、池原庸夫会長ら20人が出席し、神出市長と懇談。予算増と「使いやすい制度」への改善を要望、市長も検討を約束しました。
久保善秀県連会長は「全自治体キャラバンがリフォーム助成を実現する大きな力になった。自治体とも力を合わせ、さらにリフォーム助成を広げ、地域を変える力にもしたい」と話しています。
住宅リフォーム制度をつくろう! 創設めざしシンポ=埼玉
熊谷市でも住宅リフォーム助成制度をと開かれたシンポジウム
「熊谷市でも住宅リフォーム助成制度をつくろう」と8月4日、埼玉県熊谷市内でシンポジウムが開かれました。市が「個人の資産形成に資するのはどうなのか」と制度創設を拒むなか、市民の力で実現しようと、熊谷民商、埼玉土建熊谷支部でつくるシンポ実行委員会が主催したもの。民商会員や市民ら約100人が参加しました。
岩手・宮古市から震災1年前に住宅リフォーム助成制度を創設した成果を報告。2年間で約4000件の利用があり、助成金額は約5億4000万円、工事施工額は18億8000万円に達し、直接的な投資効果が約5倍に上っています。制度の特徴として、申請手続きも簡単な「使い勝手のよさ」を挙げ、その結果、中小の建築・建設関連業者が「下請けではなく元請けとして、営業・受注」し「施主も業者も自治体もみんなうれしい結果となった」と紹介。また震災後は、制約のある国の応急修理制度に、市独自の上乗せ補助のほか、住宅リフォーム助成制度を併用できるようにし、被災者の立場に立った住宅補修に力を入れてきたことを報告しました。
埼玉・秩父市のとりくみでは、03年に住民の生活向上を目的に始めた住宅リフォーム助成事業が今年で10年目を迎え、助成金の交付件数が4000件に達し、全世帯の15%が活用し、経済効果も11倍を超えたことを説明。「市の財政も厳しいが、今後も小規模事業者のため予算を要望していきたい」と話しました。
埼玉土建の代表は住宅リフォーム助成制度について、(1)住まいは人権(2)国の施策(3)地域循環型経済(4)地域づくり―の視点から解明。「リフォーム助成は市民に喜ばれ、自治体にとっても定住者の誘致、消費喚起、雇用創出、財政強化につながるメリットがある」と強調しました。
会場からは「宮古市では既存の制度との併用はどうなのか」「業者が税金を滞納していても大丈夫なのか」などの質問が出され、リフォーム助成への関心の高さが示されました。
シンポのまとめでは、リフォーム助成制度のある自治体では、制度がない自治体に比べ、工事の比率が高いことを紹介。「自治体も業者も市民もハッピーになれる制度を熊谷市でもつくっていこう」と呼びかけました。
全国商工新聞(2013年9月2日付)
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