工事代金未払い 元請から1336万円立て替え払い =広島・福山
「1336万円が振り込まれました」―。元請け会社に工事代金の立て替え払いを求めていた建設会社経営のKさんから6月初旬、「これで仕事が続けられる」と報告がありました。建設業法を活用して広島・福山民主商工会(民商)と一緒に要望してきたもので「民商に入って本当に助かった」と喜びをかみしめています。
Kさんは08年、大手ゼネコン「鹿島道路」の3次下請けとして道路拡張工事を請け負ったものの、2年間にわたって2次下請けから工事代金約2000万円が入ってきませんでした。このため今年に入り、国土交通省中国地方整備局に鹿島道路への指導を求め交渉。鹿島道路にも出勤簿や賃金台帳などを示し、労務費約1600万円の立て替え払いを求めましたが「いま、1次下請けと話をしているので、待ってほしい」と繰り返すだけでした。
4月に入り、別件で福山法律事務所と相談するなかで、弁護士から福山民商を紹介され、入会しました。
その後Kさんは、福山民商の山上敬二事務局長、居神友久広島県連事務局長とともに、鹿島道路中四国支店と交渉。「1次下請けと相談しているので時間がほしい」「本社と相談して後日連絡させてほしい」などと従来の態度を変えない鹿島道路に対し、「建設業法に基づいて特定建設業の元請け責任を果たし、立て替え払いをしてほしい」「もう何カ月も待っている。今すぐ本社と相談しなさい」と迫りました。
同社は30分後、「本社との相談の結果、賃金の未払いについては立て替え払いに応じます」と回答。Kさんは「工事に関わったすべての従業員の賃金と外注費もすべて労務費なので支払ってほしい」とあらためて要望しました。
しかし連休後も連絡がないため、鹿島道路に電話すると「顧問弁護士に一任した」と態度を一変。5月に入りKさんと山上事務局長は、まず国土交通省中国地方整備局を訪れ、建設業適正契約推進官にこの間の経過を説明、指導を求めました。その後、鹿島道路代表と同社弁護士を交え交渉。弁護士は「本社は、立て替え払いを前提に話を進めるということなので、労務費の単価をはっきりさせたい」と回答しました。
5月の終わりに弁護士から合意書が送られ、労務費とともに外注費についても立て替え払いが実現し、6月初めに1336万円が振り込まれました。
全国商工新聞(2011年8月8日付)
|