【解説】
「住宅リフォーム助成制度」 実施自治体7年で4倍
住宅リフォーム助成制度の調査は今回で7回目。
第1回の調査(04年12月20日)では、実施しているのは18都道府県87自治体でした。7年足らずで約4倍に増えたのは中小業者の仕事おこし、地域経済の活性化に直結する制度であることを裏付けるものです。
本紙調査では「住宅リフォーム助成制度」として集約しているのは天井や壁、床、台所、トイレ、風呂などの改修、屋根や外壁の塗装、ふすま・畳替えなど一般的なリフォーム工事です。こうした制度が「使い勝手がいい」と住民の共感を呼び、地域経済の活性化に結びついているからです。
今年度から青森、山形、静岡、奈良、岡山県など県段階での実施が増えましたが、耐震、省エネ、地元産材の使用、バリアフリーなど条件があるため、実施自治体数から外しています。
耐震や省エネ、地元産材の使用、バリアフリーなどの改修は必要な取り組みで、大いに進める必要があります。同時に、こうした条件がついたリフォーム助成制度は工事金額が高額になり、「使いづらい」との声が上がっています。工事を請け負う建築業者も「建築業許可を取得していること」「瑕疵担保保険に加入している事業者」など限られている場合があります。
それに対して一般的な改修工事を対象にした制度は申し込みが殺到しています。
岩手県宮古市(20万円以上の工事に一律10万円を助成)が実施する助成制度は工事金額20万~40万円までが工事総数の7割を占め、対象工事が畳やふすま替え、内装、外壁工事、屋根塗装、トイレの水洗化など幅広いのが特徴です。「ちょっとしたリフォームをしたい」という市民の声に応えるとともに地元の中小業者が“元請け”となり、かつてない経済効果を生み出しています。
県段階でも秋田県が全国で初めて幅広いリフォーム助成制度を実施し、県内の自治体でも同様の制度が一気に創設されました。
今年度から実施した山形県でも市町村と連携した制度として、県内の全自治体にリフォーム助成制度が創設されました。山形県連が同業組合や他団体にも呼びかけ、使い勝手の良い制度にする連絡会を立ち上げて改善を求めるなどの運動が反映したものです。
一方で、県や一部の市町村の制度は部分補強やバリアフリー、省エネ、県産材利用のいずれかを満たす工事を要件としており、業者からも「使いづらい」との指摘も出ています。
国土交通省の調査(10年10月)によると、全国1328自治体に住宅リフォーム助成制度が創設されたことになっていますが、「使い勝手のいい」と制度への改善が大きな課題です。
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