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  トップページ > 業種のページ > 建設土木 > 全国商工新聞 第2870号 3月9日付
 
業種 建設土木
 

もうかりまっせ!女性ばかりの建築補修業チーム

魅力ある仕事を提案

 リフォームよりリノベーションで物件価値を向上―。不況で住宅工事が減る中、大阪・大正民主商工会(民商)のYさん=建築補修=は「考えるよりも行動」と積極的に営業。「リノベーション」工事の導入で仕事確保を進めています。スタッフは女性中心。一人暮らしの女性や主婦に「安心して家に入れられる」と喜ばれています。

 「補修後に、お客さんや現場監督から『どこに傷があったか分からんなぁ』と言われることが一番の喜び」と現場仕事で汚れた手を隠すように照れ笑いしながら話すYさん=建築補修=。合資会社「アーム」を経営しています。

一緒に頑張る
 Yさんを含めスタッフは22歳から36歳の5人で、うち4人が女性です。「代表とスタッフという関係ではなく、一緒に頑張る」をスローガンに、みんなで盛り上げています。“社員すべてがアーティスト”という仕事のこだわりは、他社には決して負けません。
 Yさんが会社を始めたのは5年前。勤めていた保険会社の事故修復部門(リペア部)がなくなったのを機に独立しました。
 合資会社(注)にしたのは、法人格を持っていたほうが仕事確保に有利で、有限会社と違いお金をかけずに会社を設立できるという理由からです。民商にも開業してすぐに入会しました。
 民商会員だった亡き父親=建築=の現場に高校生のころから一緒に行き、美術学校卒業後、補修の仕事に就いたYさん。絵を描くのが好きで賞を取るほどの腕前。筆を使う補修の仕事はやりがいがあり、続けたいという思いが開業に踏み切らせました。

リノベーション
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リノベーションの例:普通のキッチン(上)が外国の映画に出てくるようなオシャレなキッチン(下)に
 仕事は新築・賃貸の床やサッシ・コンクリート・石の補修が中心ですが、昨年から賃貸・中古マンションの「リノベーション」も始めました。雑誌で見たのがきっかけだといいます。
 リノベーションとは、耐震・防火・断熱・利便性などを向上させるために外壁や建具、窓枠、間取り、給排水・冷暖房設備などを更新する工事。リフォームより大がかりですが、「物件の価値を上げる工事。賃貸物件なら家賃を上げられるし、空き部屋対策にもなる」とYさんは話します。
 仕事確保へ「魅力ある仕事を提案する会社」にするため、情報収集の毎日です。堀江や南船場など若者が多く集まる場所に1人で出向き、街頭アンケートに取り組んだこともあります。「どんな賃貸物件に住みたいか」「希望の賃貸料はいくらか」など、細かくリサーチしました。
 「最初はきれいな服を着てやったけど、怪しまれてダメでした。でも、好きな古着を着てみたらたくさんの人に話が聞けました」と笑います。

女性でこそ
 スタッフを育てることにも奮闘してきました。補修業という仕事柄、手先の器用な女性を採用しましたが、現場仕事の3K(きつい・汚い・危険)に加え、現場が男性中心のため女子トイレがないなどさまざまな問題で、いい人材がすぐ辞めてしまい困ったそうです。それでも、女性だからできる仕事と思い先頭に立って頑張り、5年かけて現在のスタッフが集まりました。
 女性スタッフは「昼間に男性を家に入れるのは抵抗がある」という一人暮らしの女性や主婦に喜ばれており、努力が実っています。

全国どこでも
 仕事のエリアは、「依頼があれば日本全国どこでも出向く」とのこと。車の運転が好きで現場には自らハンドルを握り、遠くは九州まで行ったといいます。夜遅くまで現場を飛び回る毎日です。
 Yさんの夢はいつか自社ビルを持つこと。リノベーションについても工務店などと共同で具体化してきた努力が実を結び、不動産会社への営業活動に奔走しています。実際に手がけた現場の写真を見せて技術をアピールし、現在の取引先は50社以上。不況で仕事は多少減ったそうですが、経営は安定しているといいます。
 「考えるより、行動しないと始まらない」とYさん。不景気でも立ち止まっていられないと言わんばかりの笑顔がはじけています。



(注)合資会社とは
 無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される会社です。最低それぞれ1名の計2名で設立できます。株式会社と違い、取締役や監査役が不要、取締役会を開く必要がないなど運営負担が軽いのが特徴です。無限責任社員は経営に関与する権利があり、負債などにすべての責任を負います。

   
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