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シリーズ 負けてたまるか高騰対策B
数字示し価格交渉 現場別経費帳が強い味方
この業界では珍しい女性社長です。
長年の民商会員だった父親が14年前に亡くなり、しばらくは母親が後を継ぎましたが、10年前に資金繰りに困ったとき、Mさんが民商の融資学習会に参加。1週間で借りられたのが大きな自信となって、「自分がやるしかない」と決意しました。
仕事の「売り」は原寸切りなどの正確さ。これで信頼をかちとることで、「絶対に安売りはしない」と頑張っています。
自主計算で、数字の根拠があればこそ
仕事で使うH形鋼の値上り幅は半年で70%以上。熔接のガス代、ボルトなども次つぎに上がり、全部を負担していては、とてもやっていけません。
元請けとの交渉で強い味方となっているのが、自主計算をもとにMさんが作った手書きの「現場別経費帳」です。
鋼材は一度に仕入れても、現場ごとに分けて経費をつけます。鋼材ごとに「キロ単価」と「使う数量」の二つを掛けて「仕入いくら」と書き込みます。
熔材、電気代などは日々の記帳から平均単価が分かっているので、その単価×かかる日数で経費を計算します。
外注費も人工×日数で書き込みます。
「帳面を付けていれば、価格変化はすぐに分かります。そこから、前回と今回の仕入単価を比べて、例えば鋼材が〇〇円アップ、熔接のガス代が〇〇円アップ…と計算したとして、キロ単価〇〇円は上げてもらわないとできませんよ、という数字が出てきます」
こうした数字をもとに価格交渉に臨みます。
「こっちは最初に値上げ分を求めても、工務店も相場が分かっていますから低い額を言ってくる。ただ、やっぱり記帳しているから、こちらの出した数字の根拠をもって交渉に臨めます」とMさん。
とはいえ、厳しい状況は変わりません。
「鋼材高で仕事量が減っても、従業員の給料や必要経費は変化しないから、運転資金が回らなくて大変」です。
建築基準法改悪に怒り
こんな政治ゆるせない
さらに大きな影響を被ったのが、耐震偽装事件をきっかけに変わった建築基準法の改悪でした。
「机上の空論でつくられた法律。建築許可が下りなくなって現場はやっていけない。許可が下りたわずかな仕事やのに、大手が参入してくる。これでは大手に泣かされるか、潰れていくしかない。そんな政治に頭にくる」。
Mさんは怒りをぶつけます。 |
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