全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 原油・原材料の高騰問題と対策のページ > 全国商工新聞 第2838号 7月14日付
 
原油・原材料の高騰問題と対策のページ
 

原材料高騰が経営直撃「ガソリン下げて」
価格に反映できない
東京・葛飾民商副会長 仙波稔さんが緊急調査

 原油・原材料の値上がりが、中小業者の経営を直撃しています。東京葛飾民主商工会(民商)の副会長のSさん=装飾ディスプレイ=は、6月に中小業者への影響について緊急調査をしました。クリーニング、金属加工、印刷、プラスチック成型、紙加工、飲食関係の会員に実態を聞き取ったもので、高騰分を価格に転嫁できず、悲鳴を上げる業者の実態が浮き彫りになりました。
 
PHOTO
原材料高騰の影響を池田さんに取材する仙波さん(左)
 「原材料の値上げで大変だ」とあちこちで聞くようになった仙波さんはカメラを持って10人ほどの会員を訪問。実態は仙波さんの予想をはるかに超え、原油・原材料の影響があらゆる業種に広がっていました。原材料が高騰し、上昇率(値上げ分÷元の値段)が130%にも及んでいる会員もいました。その結果を民商ニュース「月刊あきない」の一覧表でまとめました(別表)。
 「ほとんど値上げ分を価格に反映できない。ガソリンスタンドで給油したときに店主が『年内1リットル200円を超える。来年は300円も覚悟しないと駄目だよ』と恐ろしいことを言っていた。そうなったら国民の暮らしは困難を極め、中小業者の商売も立ち行かなくなる」と仙波さんは危機感を募らせています。

資材高騰の状況(上昇率は、値上分÷元の値段で計算)
業種、屋号 資材名 上昇率
クリーニング店【Tさん】
PHOTO
包装用袋 10%
ターベン 31%
金属加工【田原製作所】
PHOTO
普通鋼 37%〜41%
ステンレス 130%
金属加工【池田製作所】
PHOTO
普通鋼平版 66%
紙器加工【松本製作所】
PHOTO
片白ボール 26%
小間紙 28%
プラスチック成型
【田中プラスチック工業所】
PHOTO
ポリエチレン粒と袋 46%
シルク印刷
【スリーアロープリント】
PHOTO
インク 16%
溶剤 10%
日本そば【大むら】
PHOTO
小麦  19%

お手上げに

  取材した一人、Aさん=金属加工=は普通鋼平板が昨年までキロ90円だったのが、150円になり、7月からさらに値上がりしそうです。「30年以上、商売続けているけど、こんなに材料が上がるのは初めて。在庫も持てない。廃業に追い込まれた同業者もいるし、このまま材料が上がり続ければ、お手上げ」と言います。
  Bさん=美容材卸=も苦しんでいます。首都圏の美容室にシャンプーやパーマ液を車で配達していますが、ガソリン代が値上がりし続け、経営を押しつぶそうとしています。「もうやっていけないよ。ガソリンを引き下げてほしい。暫定税率を廃止すれば1リットル25円下がるわけだから、それだけでも助かる。いつ倒産しておかしくない状況」と訴えています。
  「何とかならんのかといういら立ちと、おれたちが騒いだってどうしようもないというあきらめの気持ちが交錯していた。いら立ったり、あきらめたりするだけでは事態の打開はできない。原油高騰は国民各層に襲い掛かっている。この現状を打開するには、中小業者があらゆる階層と共同してたたかうことが求められている」と仙波さんは実感しました。

葛飾区と交渉
  民商ではこの調査結果をもって6月13日、[飾区産業経済課と商工振興課と懇談。原油・原材料で苦しむ中小業者の実態を告発しましたが、「状況は理解できる」と言うものの「区では対応できない。国が第一に対策をとるべきこと」との姿勢に終始しました。
  「われわれに一番身近な行政が手立てを取らないのはおかしい。渋谷区ではクリーニング業者を支援し、融資の利子補給をやっているところもある。引き続き、区に働きかけたい」と仙波さんは話しています。

投機の規制を
  同時に国に対しても「原油の値上がりは投機マネーが原因になっていることを専門家も指摘している。各国が投機マネーの規制を合意すれば、原油高騰は沈静化するはず。洞爺湖サミットで議長国を務めた日本政府は、そのために力を発揮すべき」と指摘しています。
   
  ページの先頭