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  トップページ > 熊本地震に関する緊急情報 > 全国商工新聞 第3308号4月16日付
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熊本地震から2年 店舗再建し復興に全力 使いやすい補助金制度に

 二度にわたる震度7の激震に襲われ、死者264人、全・半壊合わせ15万6600戸の家屋が倒壊した熊本地震は、4月14日で丸2年を迎えました。整地や新しい家屋の建設が進むなか、再建に取り組む民主商工会(民商)会員からは「制度の柔軟な運用で業者の復興の後押しを」との声が広がっています。

仕出し 自宅全開も立ち直り
熊本民商 緒方登志一さん チトヨさん

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地域の人に愛される店舗の再建に向けて仕出し弁当を作る緒方さん夫妻

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9月には再建を終わる「味の山一」

 阿蘇郡西原村で和食仕出しの「味の山一」を経営する熊本民商の緒方登志一さんは、妻のチトヨさんと4人の娘とともに店を切り盛りしていましたが、震災で店と隣接していた自宅が全壊。「自殺を考えたこともあった」と言います。そんな時、近所の人たちから掛けられたのが「なんで店を再開しないと」の言葉でした。2016年8月には廃材を片付けた更地でビアガーデンを開催。「飲んで騒いで語り合った」ことが力になり、11月には仮営業を始めました。
 緒方さんは店舗の再建のため、復旧整備費の4分の3を国・県が補助する「グループ補助」に挑戦。「それでも自宅の再建と併せると、数千万円の自己負担。もう年なんだけどね」と苦笑い。
 昨年12月、長女が結婚。実母と夫妻、娘3人の6人は今も仮設住宅住まいを続けています。店舗の屋根はビニールをかぶせただけで、壁も廃材を利用した「張りぼてのような店」ですが、今年9月には、新しい店舗がオープンする予定です。
 悩みもあります。その一つが店舗の解体費用や店回りのよう壁作りへの支援です。
 自宅や店舗の解体費用は災害から2年が基本で、部分解体の場合は適用されません。緒方さんは自宅敷地のよう壁修理も全額自己負担でした。「よう壁の高さなど、少しでも条件が合わなければ適用されない。解体の適用期間や条件ももっと柔軟に対応してほしい」と話します。

中華料理 地域の宝 宴会場復活
宇城民商 末野博子さん 影野麻子さん

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「グループ補助の書類も二人で作成した」と話す末野博子(右)さんと影野麻子さん

 「7月末ごろまでにやっと店が再建できる」と顔を輝かすのは、宇土市で中華料理店「宝友」を経営する宇城民商の末野博子さんと長男の妻の影野麻子さん。
 市内で100人を超える規模の宴会ができた「宝友」は、地域や行政にとって“宝物”的存在で、被災直後から、「いつ再建すると」と、元松茂樹・宇土市長はじめ、お客からの期待が次々と寄せられました。
 しかし、築40年、150坪を超える店舗の再建にかかる資金は、半壊となった自宅の修理費用を合わせると、1億5000万円を超えます。
 「本当に返せるのか」「再建するとしても規模は小さくするしかない」。悩みに悩んだ博子さんですが、「多くの人が集まってくれる広い宴会場こそ、私たちの強み」と決意。博子さんと麻子さんは16年7月、グループ補助を活用し、店舗をこれまでの大きさで再建することを決めました。
 グループ補助の申請書類も2人ですべて作成。工事の音が響き始めると、地域の人たちから「待っとったばい」の声が上がりましたが、それでも自己負担は5000万円超に。
 新しい店舗のコンセプトは「オシャレにリニューアル」「体にやさしい中華料理を提供し、癒やしの空間をつくる」。カフェも設置し、薬膳茶の提供も考えています。
 「地域の人たちに活用され、災害の時には寝泊りにも使ってもらえる店にしたい」と夢を広げる博子さんと麻子さん。だからこそ、グループ補助で申請したものが、年度が変わり、担当者が代わると許可されなかったり、HPに掲載するだけで追加工事を打ち切りにするのは、「おかしいのでは」と疑問を投げかけます。

和菓子 新店舗で小売りに転換
熊本民商 岩原和哉さん

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「夢の詰まった店舗です」と話す岩原さん

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再建された「御菓子司 しぼりや」

 震災を機に、和菓子の卸から小売りへの転換をめざしているのが「御菓子司 しぼりや」。経営を担うのは熊本民商会員で、3代目となる岩原和哉さんです。
 熊本市中央区にある自宅兼工場は震災で全壊。16年5月には営業を再開し、今年1月15日にはグループ補助を活用して店舗を再建しました。「グループ補助を使っても自宅再建と併せ、自己負担は1000万。背負っているものは大きいよ」と話します。
 再建した店舗は、「平成の町屋」をイメージし、地元の材をふんだんに使い、コイが泳ぐ池も作りました。
 再建記念に取り付けた棟札には「天地万象皆我師匠」の文字を刻み、その裏には「平和が一番」と記した岩原さん。
 「自分の店ではあるけれど、グループ補助がなければ店舗の再建はできなかった。だからみんなに恩返ししたい」と語りました。

行政の補助金 柔軟な対応を 熊本県連要請へ
 熊本県連の井芹栄次事務局長は「震災から2年たち、グループ補助の運用に対する業者の要望が広がっていることが浮き彫りになっている。復興を進めるためにも、こうした要望をまとめ、熊本県や国と交渉し、柔軟な対応を求めていきたい」と話しています。

全国商工新聞(2018年4月16日付)
 
   

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