東電に完全賠償を迫れ 実態示し県に要望=福島県連
「損害を受けているすべての業者に賠償を」と申し入れる二宮会長(右端)
福島県商工団体連合会(県連)は1月12日、東京電力(東電)福島第1原発事故から7年を前に、東電が「損害を受けているすべての業者」の賠償に応じるよう、福島県に要望、懇談しました。二宮三樹男会長はじめ民商・県連から18人が参加。日本共産党の宮本しづえ県議が同席しました。
申し入れたのは、(1)損害賠償に東電が責任ある態度を取るよう県として申し入れること(2)福島地裁判決を真摯に受け止め、「損害を受けているすべての業者」の賠償に応じるよう、福島県として東電に申し入れること(3)「買い控え」「取引停止」などは「基本的にない」とする東電の判断は実態とかけ離れている。実態調査を行い、態度を改めること-など4項目。
二宮会長は要望書を手渡すとともに、経産省東北経済産業局の中小企業アンケート(17年10月)で、55%の業者が震災前と比べ「売上が回復していない」と答え、同年11月の県の商店街調査でも「客数が減った」が75%に及んでいるにもかかわらず、東電は「買い控え」「取引停止」はない、として賠償交渉に応じていないことを厳しく批判。県として賠償に誠実に応じるよう、東電に申し入れるよう求めました。
交渉に参加したカフェレストラン・クラブの経営者は、「郡山市は賠償対象外の区域」と、東電職員にウソをつかれたため、賠償を求めて提訴。一審、控訴審でも敗訴し、最高裁への上告を準備しますが、民商の支援を受けた政府交渉で、東電側が「間違いがあった。今後は真摯に対応する」と発言。6年半越しに東電は虚偽発言を認めました。
このため経営者は最高裁への上告をやめますが、東電側は、「(謝罪した担当者は)在籍していない」「判決が出ているので賠償できない」と、発言を一変させ、支払いを拒否しました。
この経営者はこうした事実を詳しく紹介し、「私たちを助けてください」と訴えました。
申し入れに対し、県は「損害がある限り、東電は誠実に対応すべき」と回答。県連の要望を東電に伝えることを約束しました。
全国商工新聞(2018年2月19日付) |