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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3144号11月17日付
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原発ゼロの願い込め 手記集を発行=福島県婦協

 「こんな福島にしてしまった国と東電が憎らしくてしようがない。大臣方は、福島に早く来てくんなんしょ。そしてよっくど見て、よっくど考えて、さっさど良くしてくなんしょない」─。福島県連婦人部協議会(県婦協)がこのほどまとめた、東京電力福島第1原発事故の被災体験手記集「伝えたい私の思い」の一節です。政府が国民世論を無視して、鹿児島・川内原発を皮切りに再稼働を強行しようとする今、福島の業者婦人の証言は、原発ゼロこそ日本がめざす道であると訴えます。

国と東電が憎い


福島県婦協がまとめた手記集
「伝えたい私の思い」

涙あふれて
 手記集には多くの苦悩が寄せられ、子育てをする母親は叫ぶようにつづります。
 「給食のおたよりには毎日、食材の放射性物質測定検査の結果が載せられ…時がたつとともに、この異常な環境が『普通』になっていくことが恐怖です。(略)この先の未来にほんの少しでも影響が出ないことを必死で祈るのはどの親も皆同じです。(略)あれから私たちに何一つ『希望』は増えていません。全く収束の見えない残骸と化した福島第1原発。まるで、化け物だ。人類の大切な未来をすべて飲み込んでしまう化け物だ」(42・食堂)。
 生業を奪われた業者婦人たちの願い、憤りも。「お客さまは戻ってきません。以前のように相対し、ニコニコしながら商売をしたいのです」(72・八百屋)、「事故後、小さな下請けの仕事でもなんでも引き受けて頑張ってきました。(略)ただでさえ消費税に苦しめられているのに、さらに増税しようとしている国の考えがわかりません」(57・林業)。
 そして、どの証言からもかつての自然豊かな暮らしへの思い、二度と戻れない悔しさがあふれています。
 「一人一人の言葉がたまらない。その時のみんなの心情を思うと涙が出て。なかなか読み進めないでいるんです」と県婦協会長=石材=は、手記集を手に話します。

100人の証言
 県婦協が証言集作りを始めたのは約1年半前。「生業を返せ、地域を返せ」福島原発訴訟の原告団員の証言集をきっかけに「私たちもいっぱい言いたいことがある。業者婦人の証言も残したい」と幹事会で決めました。
 「手記集づくりは初めてのこと。全国の婦人部の助けを借りて完成できた」と参考にしたのは、長崎県婦協が95年から7冊作成した業者婦人の被爆証言集「あじさいの街から」。表紙や挿絵は、4月に愛知県婦協が福島を訪れた際、春日井民商婦人部員=建設=が被災地の景色を描いたものです。県内800人の婦人部員のうち、9民商婦人部100人から手記が寄せられ、県婦協三役が10月4日に郡山民商事務所で製本しました。
 事故から3年半、12万人以上がいまだ避難生活を強いられ、県民は不安な生活を続けています。
 原発事故の実相をつかもうと、県婦協は10月22日、原発から20キロ圏内の南相馬市小高地区、10キロ圏内の浪江町請戸地区を35人で視察。津波で陸の上に打ち上げられた船や車、被災した小学校が手つかずのまま放置されています。

共通の思い
 「日本のどこの町でも起こりうることだね。二度と事故を起さないためにも原発はなくさないと」。変わり果てた町を前に、誰ともなく口にした婦人部員の共通の願い。手記集の言葉がみんなの決意を示します。「今ここに声を大にして、生活と権利をしっかりと主張していかなければならないときが来ています。力を合わせれば小さな灯も大きな炎になります」(72・スナック)。

被災の実相 業者婦人の声(手記集から)
得体の知れない恐怖が=白河民商・二宮弘子さん(看板)

家計簿に気持ちメモし=二本松民商・五十嵐敦子さん(印刷)

好きな商売ボロボロに=会津若松民商・中島米子さん(呉服販売)

もう黙っていられない=福島民商・佐藤とみ子さん(コンパニオン委託派遣)

 * * *

▽手記集は1冊500円。問い合わせは福島県連(Tel024・533・5524)へ

全国商工新聞(2014年11月17日付)
 
   

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