原発事故を風化さるな シンポ「福島の未来を考える」
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・弁護団は2日、福島市内でシンポジウム『福島の過去・現在・未来を語る』を開催しました。
シナリオライターで映画『あいときぼうのまち』の脚本者、元東電社員、元NHKキャスター、かもがわ出版編集長らがパネリストとして参加しました。
「福島の過去・現在・未来を語ろう」と開かれたシンポジウム
当時者意識低い東電幹部を非難
東電の技術職として福島第1原発で働いていた元社員は、東電OBの一人として事故についておわびを述べるとともに、従事していた当時のこととして「経営の合理化や稼働率を高めることが優先され、保守点検の手順書もなかった」と証言。また、事故後に届いた企業年金の減額の通知には、「皆さまがつくり上げた東電の存続のためにご協力をお願いします」とあり、「自己反省に立って、自浄努力をしたのか」と、東電幹部の当事者意識の希薄さを非難しました。
「3・11後と今日の時代状況」について、シナリオライターは「一言でいうと開戦前夜。治安維持法のような特定秘密保護法ができ、あっという間に侵略戦争に突入した戦前に似ている」と危機感を表明。松竹さんは、「震災や事故後が風化されてきている」と指摘するとともに、こうした状況を打開していかなければならないと訴えました。
また、元NHKキャスターは、マスメディアが伝える情報の偏りを指摘し、一人ひとりが受動的な姿勢にとどまるのではなく、「民主主義の参加者だと自覚し、世の中を変えていく主体であるという認識をもつことが重要」だと語りました。
時代状況つかみ生業訴訟勝利へ
原告団の団長は「戦争は最大の被害を国民にもたらします。原発ゼロとともに、戦争反対を原告団としても訴えていきたい」と決意を述べました。
司会を務めた弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は「原発事故に対する国と東電の姿勢だけでなく、いまの時代をどう見るのかといったことなど、状況を大きくつかむ上でも、とても充実した討論になった」と総括し、「多くの人が生業訴訟に注目し、応援している。国と東電を被告にした生業訴訟が勝利し、これからの日本を変えていく第一歩にしよう」と締めくくりました。
全国商工新聞(2014年10月20日付) |