東電・国の責任追及に協力を・原告団が県、議会に要請=福島生業訴訟
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団(中島孝団長)は6月30日、福島県、県議会各会派に対し、裁判への支援とともに、東電の不誠実な主張の撤回などを求める要請を行いました。裁判に関わる県への要請は初めて。弁護団含め約50人が参加しました。
県議会議長(代理)に申し入れる生業訴訟の原告団
要請したのは(1)東電が示した、▽年間20ミリシーベルト以下の被ばくは、なんらの権利侵害に当たらない▽技術的に原状回復が可能だとしても、費用がかかりすぎるので、1企業の手には負えない― とした不誠実な主張の撤回を求めること(2)裁判所の決定に従い、事故前に試算していた津波被害に関する一切のデータを開示するよう東電に求めること(3)環境省が提案した達成すべき空間放射線量の目標値の引き上げに反対すること(4)国にも法的責任があることを前提に、被害救済に積極的・主体的に関与するよう国に求めること― の4項目。
県への要請で、中島団長は「生業裁判は原告だけの裁判でなく県民を代表した裁判」と強調し、「県も一緒に努力してほしい」と訴えました。
応対した県生活環境部は、個別の訴訟について「コメントできない」としながら、「事故の原因者である東電が県民の声を受け止めきちんと対応すべき」と強調。国の責任についても「原発を推進してきた責任はある」と明言し、被害者への賠償についても「迅速に行うよう求めている」と回答しました。
また、弁護団からの(1)事故前に津波被害に関わる試算データを知っていたのか(2)事故後にデータの開示を東電に求めたことはあるかなどの質問に「後日、回答する」と答えました。
各会派への要請ではそれぞれ、「重く受け止め、党の幹部に報告する」(自民党)、「東電を公式の場でただしたい」(民主・県民連合)、「気持ちは同じ。裁判を支援する」(日本共産党)、「東電の企業責任はある。国のエネルギー政策にも大きな問題がある」(ふくしま未来ネットワーク)などと回答しました。
要請後に開いた記者会見で、中島団長は「生業裁判の姿を伝えることができた。今後も継続して要請活動をしたい」と意義を強調。馬奈木厳太郎弁護団事務局長は「原告団の主張と多くの会派の考えは一致している。今後も県や議会と連携し、情報の交換、裁判への傍聴も含めて要望したい」と話しました。
全国商工新聞(2014年7月14日付) |