福島原発賠償訴訟 生業を返せ! 原告団2600人に
東京電力福島第1原発事故の被害者が、国と東電を相手に原状回復と慰謝料などを求めた「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟、中島孝原告団長)で、事故から3年を目前にした2月10日、新たに620人の原告が福島地裁に提訴しました。今回で3回目。原告は合わせて2600人となり、事故に伴い全国13の裁判所に提訴している訴訟の原告約5000人の半数以上を占める全国最大の原告団となりました。
福島原発賠償訴訟 「生業を返せ!」 第3次提訴団
同訴訟は、放射性物質によって汚染されていない環境で生活する権利(人格権)などが侵害されたとして、国と東電に対し、原状回復と慰謝料(原告1人につき月額5万円)を求めるとともに、被害者の諸要求を制度化させ、被害の「全体救済」をめざしています。
最大の原告団
この提訴によって、原告は福島県内59市町村のうち、50市町村をカバーし、また、山形、宮城、茨城、栃木など県外の被害者も加わるもっとも広範な弁護団を形成したことになります。
提訴後、原告らは福島市内で記者会見。
昨年5月にチェルノブイリ原発事故の視察のためウクライナに行った原告団事務局長の服部浩幸さんは、「すべての苦しみを福島に押し付けて何もなかったかのようにされている。このままでは福島が生き埋めにされてしまう。声を上げなくてはいけないと思った」と決意を表明。また、二本松市内の農業家は、「営々として築いてきた田畑や里山が一瞬のうちにこんなことになるとは思わなかった」とし、「私たちの未来を子や孫につないでいきたい」と思いを語りました。
馬奈木厳太郎弁護団事務局長は4回の弁論を振り返り、裁判所が全国で初めて東電の「過失責任を審理の対象とした」ことについて「国と東電の責任を問う声が全国に広がっていく大きな力となる」と強調。今後、裁判所による居住制限地域などの実態調査、被害実態を正確に把握するためのアンケート調査に取り組みたいと表明しました。
地域取り戻す
相双民主商工会(民商)会員でスーパーを経営する中島孝原告団長は「この裁判を通じてのびのびと安心して暮らせる地域を取り戻したいというのが県民の共通した思い。それを実現し、原発の再稼働を見過ごすのではなく、『原発やめろ』の声を上げるため、この裁判に多くの人が加わってほしい」と呼びかけました。
全国商工新聞(2014年2月24日付) |