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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3100号12月16日付
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福島原発生業訴訟 東電 異例の資料提出拒否

会見開き強く抗議=福島生業返せ弁護団

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東電の資料提出拒否に対し抗議の記者会見をする「生業弁護団」

 国と東電に原状回復と慰謝料の支払いを求めた「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の弁護団は2日、都内で記者会見し、東電と電気事業連合会(電事連)が福島地裁から求められていた津波などに関する資料提出を拒否したことを明らかにしました。裁判所からの資料提出要求を拒否するのは極めて異例。同弁護団は「裁判における過失責任追及をおそれてのものであり、極めて不当」と強く抗議しました。
 福島地裁が弁護団の要求に基づき東電に提出を求めていた資料は(1)明治三陸地震(1896年)をモデルにした08年実施の津波評価データ(2)1677年の房総沖津波地震をモデルにした試算(3)08年に発表された論文(佐竹論文)をもとにしたモデルを使った津波評価-の三つに関わるすべてのデータ。
 いずれも大規模津波が起きた際、原発に生じる影響について安全性評価をおこなったもの。弁護団は、当時想定されていた津波高をはるかに上回る津波が襲うことを予見できたにもかかわらず、必要な津波対策の見直しをしてこなかったことを判断する重要な資料として提出を求めていたものです。
 東電は資料提出拒否の理由として“原発事故による損害賠償は原賠法により無過失責任が定められているから、東電の過失責任は審理対象とならない”としていますが、裁判所は第3回口頭弁論(11月12日)でその主張を退け、「原告の求める文書を東電に出してもらう必要がある」と判断したものです。また、電事連は「外部の者に公開することを予定していない」としますが、すでに国会事故調や政府事故調の報告書では、該当するデータの一部が紹介されており、まったく理由にならない理由で提出を拒否しました。
 会見した馬奈木厳太郎弁護団事務局長らは、「加害者である東電が真相解明のため自ら提出するのが国民への責任」と指摘したうえで、「真相を隠ぺいしようとする極めて不当で許せない態度」と厳しく批判しました。
 また、東電に資料提出を指示することを求める要望を、経済産業省に行ったことを明らかにするとともに、今後(1)裁判所に対し、強い訴訟指揮を求めていく(2)国会議員、メディアにも働きかけ、社会的批判で包囲していく(3)法律上制裁措置がある文書提出命令を裁判所に求める-ことを表明しました。

賠償打ち切りやめよ 東電・経産省と交渉=完賠連

 全国商工団体連合会(全商連)も加わる福島原発被害・完全賠償中小業者連絡会(完賠連)は12月4日、一方的で不当な賠償「打ち切り」の撤回などを求め、東京電力、経済産業省(資源エネルギー庁)と交渉しました。勝部志郎全商連常任理事はじめ、被害者、税理士ら18人が参加。東電はこの日、完賠連が持ち込んだ賠償の打ち切り具体例について「再精査したい」と回答。また、資源エネルギー庁も「親身で丁寧な対応をするよう東電を指導する」と答えました。
 原発の損害賠償をめぐっては、請求額の金額欄に「弊社(東電)にて算出」と、加害者である東電が被害額を計算するかのような書類を福島でも11月末から被害者に送り付けたり、「本件事故と減収等に関する個別のご事情確認票」として、営業所の移転・閉鎖、サービス内容の変更などを記載する新たな書類の提出を求めるなど、賠償の減額と「打ち切り」を前提にした対応が横行しています。
 この日の交渉で、完賠連は、(1)「弊社にて算出」とした請求書の撤回とともに、これまでの請求書類の併用を認めること(2)「確認票」については、被害の立証責任を被害者に求める中間指針にもない東電の一方的な書類であり、破棄すること(3)個別事情も考慮しない東電の一方的な賠償打ち切りは、「親身、親切な賠償という観点から不適切」(衆院決算行政監査委員会での茂木経産相答弁)からしても不適切であり、やめること―を申し入れました。

 不適切な対応改善を求める
 応対した東電の損害賠償部長は、「弊社計算」について、「貢献利益率は今までに確定しているので、減少額をかければ逸失利益はだれがやっても同じ。請求書の計算の手間を軽減するため」と回答。「確認票」についても「事故からすでに2年半以上が過ぎ、事故と賠償の関係が分かりづらくなっているから、個別の事情を聴いている」とし、賠償の「打ち切り」には、不適切な対応があったことを認めるとともに、「大臣答弁の立場で丁寧に対応したい」と答えました。
 参加者は、部長が回答の中で、原発事故がすでに収束したかのような認識を示したことについて、放射能汚染水がいまだに垂れ流されていることなどを指摘し、厳しく批判。賠償額の計算で使う貢献利益率についても、実際には電話1本で引き下げを求められているとし「現場の実態を知らないのか」と詰め寄り、部長は書類の併用については「検討する」と約束しました。また、「確認票」は、経産省に相談することなく作成し、事後報告となったことを明らかにしました。
 経産省交渉では企画調整官が応対。「確認票」が事後報告となったことについて「大変遺憾」と表明。「弊社が試算」とする請求書についても、「加害者が計算すれば逸失利益が減らされると感じても仕方がない」とし、「東電が親身、親切に対応するよう指導したい」と答えました。
 賠償の「打ち切り」について、参加者から「東電が恣意的に行っている。打ち切るというならルールが必要ではないか」と提起したのに対し、「ルールがないのはその通り」と認めるとともに、「東電は大きい企業。それだけにより丁寧な対応が求められる」と答えました。

全国商工新聞(2013年12月16日付)
 
   

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