原発事故 賠償求めて集団訴訟 生業、地域を返せ
東電福島第1原発事故からちょうど2年となった3月11日、県内在住、そして県外に避難した被害者800人が国、東電を相手に福島地裁に提訴しました。
賠償金は非課税に! 広がる共感
全商連と「福島原発事故被害・完全賠償請求中小業者連絡会」(完賠連)が損害賠償請求とともに力を入れてきたのが、東電から支払われた賠償金を非課税とすることでした。
原発事故の損害賠償金の課税について国税庁が見解を示したのは11年11月末。「賠償金に関する所得税法上の取り扱いについて」とする文書で、精神的損害や資産の損害については非課税としたものの、営業損害や風評被害による賠償金については、事業所得の収入金とし、課税対象としました。
この見解を受け、全商連・福島県連は日本共産党の大門実紀史参議院議員とともに国税庁と数度にわたり交渉。「課税すべきでない」と迫る中で国税庁は、風評被害などは「将来、損害賠償の内容や金額が確定した際に精算することを前提」としており、「その支払いを受けられた段階では課税関係は生じない」として、賠償金の支払いが中途段階あるいは一部である場合は、課税しないとの見解を示しました。
こうした全商連などの運動が実を結び、東電は12年3月13日、福島県連に対し「原子力損害に係る賠償金について」との文書を提示。その中で「お支払した賠償金は…お支払すべき原子力損害に係る賠償金の全部または一部です」とし、賠償金は一部であることを認め当面、課税されないこととなりました。
その後も、全商連と完賠連は賠償金への非課税を求めて運動を展開。同年11月には仙台国税局に対し、特別な立法措置をとるよう要望しました。同時に、「賠償金の非課税を求める請願署名」への賛同を求め、福島県内の業界団体を軒並み訪問し、これまでに県医師会、県建設業協会、県旅行業協同組合、県家畜商業協同組合など77団体から賛同が寄せられています。
13年3月には12年度と同様、東電はこれまでに支払った賠償金が「その一部」である文書を福島県連に提示。仮受金として処理できることにより、課税所得扱いされないことになります。
⇒ 原発事項現状回復請求 訴状(要旨)
全国商工新聞(2013年5月13日付) |