東電交渉 賠償姿勢 大きく後退
全国公害被害者総行動実行委員会など10団体は2月20日、衆議院第1議員会館で福島第1原発事故被害の完全賠償などを求めて東京電力(東電)、政府と交渉をしました。180人が参加し、福島県商工団体連合会(県連)や県内の民主商工会(民商)の会員も多数参加。国と東電が加害者としての責任をまったく持たず、損害賠償への姿勢も大きく後退していることが浮き彫りになりました。
福島第1原発事故被害の完全賠償などを求めた東電・政府交渉
東電の広瀬直己社長の出席を求めていましたが、実現せずに参加者は、「なぜ社長が出てこない」「責任ある回答ができるのか」と東電の姿勢を厳しく追及しました。
福島県内の7割の住民が原発ゼロを求めていることを紹介し、県内に立地する10基の原発を廃炉にすることを要望。しかし、東電側は「廃炉は未定です」を繰り返すだけ。参加者からは「理不尽だ」と怒りが噴き出しました。
また、損害賠償について「何度も損害賠償を請求したが、何の回答もない」「8月に請求したが、その場で突き返された」など東電が賠償請求に応じない実態を告発。「賠償は中間指針に沿って」と木で鼻をくくったような答弁を繰り返しました。参加者は現地説明会の実施を求め、東電は開催を約束しました。
事故後、沖縄県に子どもと一緒に避難した女性は「尿検査をした子どもからセシウム137が検出された」と声を震わせながら追及。職員は何も答えられませんでした。
さらに参加者の怒りを買ったのは女性の「血液、尿検査をしたいと思うのが当たり前。検査費用は助成されるか」との質問に、「検査を受けることが合理的なのか」という職員の驚くべき言葉。「加害者としての責任を持て」と激しい怒りの声が飛び交いました。
東京都[飾区に家族で避難している相双民商の山内悟さん=飲食=は「被害者の必死の訴えをまったく受け止めていない。憤りを覚える。社長自ら責任ある回答をすべき」と話していました。
賠償金の非課税国会議員に要請
交渉に先立ち福島県連は、賠償金非課税を求めて地元の国会議員に要請を行いました。
「議員立法より福島復興特別措置法の課税特例の改正を求めてはどうか」(増子輝彦・民主)、「損害賠償金を受けた人だけを非課税とするのは県民の分断を生むので、福島県民は非課税、税の軽減を求めた方がいい」(荒井広幸・新党改革)、「自民から民主までの超党派の議員から出されたら与党として協力する」(佐藤正久・自民)などと答えました。
全国商工新聞(2013年3月11日付) |