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原発賠償 当面の課税を回避 東電が文書
東京電力が福島県連に提示した文書
福島県商工団体連合会(県連)は5日、東京電力福島第1原発事故の損害賠償金について「賠償金の一部」であることを認める文書を東電から提示させました。損害賠償金が、賠償の「一部」として扱われることにより、仮受金として処理することができます。その場合、損益計算上には反映せず、当面、課税されることはありません。
東電の文書は「原子力損害に係る賠償金について」で、福島県連や全国商工団体連合会(全商連)の求めに応じ、昨年と同様に作成し、提示したもの。平成24年12月31日までに支払った賠償金は「(東電が)お支払いすべき原子力損害に係る賠償金の全部または一部です」と、これまで支払った賠償金は「一部」と認めています。
国税庁は、原発事故被害の賠償金のうち、風評被害や出荷停止など営業損害への損害賠償金は事業所得の収入金額であり課税対象となるとしています。これに対し、福島県連と全商連は昨年来、「被害者に支払われた損害賠償は課税すべきではない」「賠償金は仮払いであり、その一部であると認めよ」と東電や財務省と交渉を重ねてきました。
こうした運動が実を結び、国税庁は昨年、課税対象となる風評被害なども「将来、損害賠償の内容や金額が確定した際に精算することを前提としている」仮受金(仮受補償金)は、「その支払いを受けられた段階では、課税関係は生じない」とし、損害賠償金の支払いが途中段階あるいは一部であれば、課税しないとの見解を公表しています。
全国商工新聞(2013年3月11日付) |