原発賠償に課税するな 福島70団体から賛同署名
賠償金の非課税を求めた完賠連の東北財務局と仙台国税局交渉
「福島原発事故被害・完全賠償請求中小業者連絡会」(完賠連=自由法曹団、税経新人会全国協議会、全国商工団体連合会)は11月14日、東北財務局や仙台国税局と交渉し、東京電力から支払われる賠償金のすべてを非課税とするよう求めました。弁護士と税理士をはじめ、福島と宮城の民主商工会(民商)や農民連など25人が参加しました。
提出した要請書は、(1)賠償金はすべて非課税とする(2)申告・納税をしている者には、更正の請求の申請を認める(3)必要であれば特別な立法措置を取るよう財務省と国税庁に上申する―の3点を要求。
仙台国税局の総務部総務課の三上俊明課長補佐は「要請の内容は確実に国税庁に伝える」としつつも、「当事者(被害者と東電)間の合意と和解に基づいて支払われた賠償金のうち、営業損害(逸失利益)は事業所得の収入金額に当たり非課税とすることはできない」と繰り返しました。
福島・相双民商の高橋武奥さん=鮮魚卸=は「漁業者はいまだに漁ができない状況だ。賠償金に課税されれば将来が見えなくなる。私たちの要望を実現せよ」と求めました。
馬奈木厳太郎弁護士が、過去に水俣病被害者への補償金を非課税とした事例を挙げ、要請の内容を国税庁に伝えるだけではいけないと指摘。「被災地を抱える国税局として水俣病の事例を研究し、国税庁に非課税にするべきとの意見具申をするよう検討せよ」の2点を迫りました。
仙台国税局総務部の伊藤幸雄総務課長は「両方について勉強する」と述べました。
交渉後、完賠連は福島県庁で記者会見を行い、「東京電力から支払を受ける賠償金の非課税を求める請願署名」が70団体(別項)と6000人を超える個人から賛同が寄せられていると発表。同席した福島県家畜商業協同組合の柴田一男副理事長は「畜産業が再建できない状況に追い込まれつつある。賠償金への課税をすべきではない」と語りました。
記者会見にはNHKと福島放送の他、福島民友、民報、読売、毎日、しんぶん赤旗の5紙が出席しました。
別項 賛同団体一覧
福島県医師会、須賀川医師会、福島県建設業協同組合、福島県家畜商業協同組合、浪江町商工会、北塩原村商工会、相馬双葉漁業協同組合、相馬市松川浦観光旅館組合、福島県旅行業協同組合、福島第一食糧卸協同組合、福島県木材協同組合連合会、福島県民主医療機関連合会、福島県建設業協会、福島県建設業協会県北支部、福島県建設業協会猪苗代支部、福島県建設業協会いわき支部、福島県建設業協会喜多方支部、福島県建設業協会県南支部、福島県建設業協会郡山支部、福島県建設業協会須賀川支部、福島県建設業協会相馬支部、福島県建設業協会田村支部、福島県建設業協会二本松支部、福島県建設業協会双葉支部、福島県建設業協会宮下支部、福島県管工事協同組合連合会、福島県建材・専門工事業協同組合、福島県建設大工工事業協会、福島県建築設計協同組合、福島県土木コンクリートブロック協同組合、福島県生コンクリート工業組合、福島県コンクリート製品協同組合、福島県水処理協同組合、福島県上下水道コンサルタント協会、福島県鉄構工業組合、福島県鉄筋業協同組合、福島県電気工事工業組合、福島県配電盤工業会、福島県宅地建物取引業協会、福島県建設産業団体連合会、福島県建築士事務所協会、福島県空調衛生工事業協会、福島県設備設計事務所協会、福島県造園建設業協会、福島県土地改良建設協会、福島県アスファルト合材協会、福島県測量設計業協会、福島県地質調査業協会、福島県電設業協会、全日本漁港建設協会福島県支部、福島県港湾空港建設協会、福島県採石業協会、福島県橋友会、福島県浜通り農民運動連合会、福島県法面保護協会、福島市医師会、相馬双葉漁協小買受人組合、福島県商工団体連合会(他、福島県内の11民主商工会)
全国商工新聞(2012年12月10日付)
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