震災復興へ実態調査 被害補償・債務免除を=宮城・気仙沼
国への要望のトップは消費税増税の中止―。宮城・気仙沼本吉民主商工会(民商)は2日、東日本大震災が中小業者に与えた影響調査の結果をまとめ、菅原均会長、千葉哲美事務局長が気仙沼市役所内で記者会見をしました。中小業者団体が震災1年後の影響調査を行ったのは宮城県内でも初めて。「朝日」「読売」「三陸新報」など5社が取材、2紙が報道しました。
アンケート調査で記者会見する菅原会長(左)と千葉事務局長
調査は震災から1年経過した中で実態を把握し、今後の復興に生かすために行ったもの。4月から6月にかけ、民商会員と商工新聞読者の380人に20項目の質問用紙を配布し163人(43%)から回答がありました。
多くが売上減
調査結果によると、全壊・大規模半壊などの被害を受けた店舗(住宅との併用含む)は107人と66%に及び、営業への影響では「売上減少」が52人(32%)と最も多く、「取引相手の減少」も37人(23%)となっています。一方、「忙しくなった」と回答した人も44人(27%)いました。
公的補助が力
震災後、「仕事を再開した」のは103人で63%を超えたものの、「休業中」「廃業した」が合わせて7人(4%)いました。また、仕事再開にあたり「公的補助」(国のグループ補助金、県実施の2分の1補助、共同仮設店舗、市独自の10万円助成など)を活用したのは55人に上るなど、公的な補助制度が復興に大きな力を発揮したことを示しています。
将来不安強く
「今後の見通し」については70%にあたる113人が「仕事を続けられる」と回答する一方、23人(14%)が「仕事の見通しがない」「生活の見通しがない」と回答。仕事や生活への将来不安を抱えていることが浮き彫りになっています。
「国、県など行政への要望」については、「消費税増税の中止」との回答が84人(回答者の62%)と群を抜いて多く、「店舗・工場・設備被害の補償」「借入金の免除凍結」が続いています。民商への要望でも「消費税反対運動の強化」(68人)が最多で、それに続き「補助事業への挑戦」「経営の相談」「まちづくりへの参加」となっています。
会見した菅原会長らは、記者の質問に答え、民商として国のグループ補助事業に取り組み、2回の募集で11億円以上を実現できたと報告するとともに、「国や民商に対する要望の中で最も多いのは消費税増税の反対であり、まちづくりへの参加。業者として大いに力を発揮したい」と強調しました。
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市幹部と懇談
「貴重な成果」と発言
菅原均民商会長らは、震災の影響調査結果の記者会見に先立ち、気仙沼市の幹部らと懇談しました。
菅原会長が調査結果を手渡すと、応対者は「貴重な成果ですね。政策をつくるときにはこうした調査が必要」「本当は私たちがしなければならないものだ」と語るなど、調査結果に関心を寄せていました。
菅原会長は、「結果を踏まえ、民商としてあらためて政策提案などをしたい」と答えました。
市の統計によると、市内の民間事業所数は4044(06年)。このうち従業員数が5人未満の事業所は3027と7割を超えています。
民商が集めた調査数は163事業者で、5人未満の事業所数の5%超に当たり、統計としても大きな意味を持っています。
全国商工新聞(2012年7月23日付)
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