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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3030号 7月9日付
 
 

東電事故 漁業者に賠償 水揚げ禁止続く限り=福島・相双

 「津波被害」を口実にした損害賠償の拒否は許さないと、相馬双葉漁協小買受人組合と相双民主商工会(民商)、福島県商工団体連合会(県連)、全国商工団体連合会(全商連)は6月22日、福島市内で東電交渉を行いました。東電は、組合員全員を対象に賠償すること、また水揚げ禁止の解除がない限り賠償することを明らかにするなど、これまでの姿勢を大きく転換。関係者から「大きな成果だ」との声が上がっています。

 交渉には小買受人組合の組合員ら31人が参加。自由法曹団の二人の弁護士が同席しました。福島第1原発事故以来福島県沖は全域で出漁を自粛。県内の水産物は損害賠償の対象で、福島県相馬市の漁港で水揚げされた魚介類を買い受けて商売をしている小買受人組合の組合員(約40人)も請求が認められていました。
 しかし、今年1月に入り東電は「津波により事業の継続ができなくなったためで、原発事故との因果関係とは認められない」「津波の影響による被害は支払いの対象にならない」などとして、賠償を拒否。さらに「宮城県在住だから」との理由で対象外とされた組合員も生まれるなど大きな問題となっていました。

セシウム検出のヒラメ突き付け
 交渉では、紺野重秋相双民商会長(全商連常任理事)が、完全賠償を要望。セシウムに汚染された60センチのヒラメ2匹を持参。机の前に並べた小買受人組合の中島孝組合長は「立派なヒラメだが、セシウムが検出されて売ることも食べることもできない。魚の水揚げがなければ、われわれの商売は成り立たない」と告発。津波と原発の二つの被害を受けていることに触れ、「カレイやヒラメなど相馬双葉漁協水揚げのブランド力ある鮮魚に依存して営業をしていた組合員にとって、他の産地の魚を扱っては従前のような利益はほぼ不可能。東電は事業再開や津波を賠償条件とすることなく全面的に応じるべきだ。また、宮城県在住者も対象にしてほしい」と訴えました。

組合員の要望にほぼ満額の回答
 応対した東電の福島相談センターの担当者らは「昨年5月以後の分は確認が済み次第支払う」と約束すると同時に、「福島から魚介類の水揚げがないことから間接被害として認めたい。水揚げ禁止の解除がない限り賠償する」と、組合員の要望についてほぼ満額回答しました。また、宮城県在住の事業者を除外したことについても「相馬漁港との取り引きがあれば該当する」とし、賠償の対象であることを認めました。
 福島県新地町で地元の魚を料理に出している老舗旅館主は「津波だから支払いはできないと電話が入ったときは泣いたが"死ぬなよ。何とかするから"と励ましてくれたのが民商だった。交渉に参加して展望が見えた」と語りました。

全国商工新聞(2012年7月9日付)
   
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