単価下落分の賠償検討へ 干しイモ業者ら 東電交渉
全商連と茨城、埼玉、神奈川の3県商工団体連合会(県連)は7日、「被害実態を踏まえた完全賠償」を求め、東電本店と交渉しました。東電は、神奈川県連を交渉窓口とすることを確認。また、茨城の干しイモの賠償にあたって「事故以前の販売単価との下落分を基準とすること」について検討することを約束しました。
交渉には、原発事故によって風評被害を受けた茨城県の干しイモ業者、埼玉県のバス業者ら24人が参加。税経新人会の古徳正義、佐伯正隆の両税理士が同席しました。東電は大塚紀文課長ら5人が対応しました。
干しイモ業者らは、原発事故前には買い取り価格7000円(10キロ)だった干しイモが、事故後5500円に下がった事実を指摘。東海村JCO事故(99年)で賠償が行われたことも紹介し、売り上げ減など現実に減収になった分だけではなく「販売単価を基準に賠償」するよう強く求めました。
埼玉県のバス業者らは、埼玉県連が交渉窓口になっているにもかかわらず、追加資料の連絡を請求者個人に行い、「出さなければ賠償しない」などと対応していることを厳しく批判。「実態に応じた賠償を行うよう」要望しました。
また、神奈川県連は賠償の請求や交渉の窓口とすることを要望。計画停電で受けた損害も賠償の対象とし、燃料高騰を「理由」に電気料金を値上げしないよう求めました。
東電は、神奈川県連を交渉窓口にするとともに、干しイモの賠償について「販売単価を基準」とした賠償の検討を約束しました。
一方、電気料金値上げについては「認めていただきたい」とし、計画停電に伴う被害については「原子力事故に伴う賠償からは外れている」と、拒否しました。
また、神奈川と埼玉の二県連がそろって要望した(1)「風評被害」で販売不可能となった農作物・工業用品の在庫品と半製品などについても賠償の対象にする(2)観光業、サービス業者が事故で減収となった損害について、対象地域を限定せずに賠償する-などについては「中間指針を尊重して対応する」「事故と相当因果関係があるものは賠償したい」と答えるにとどまりました。
全国商工新聞(2012年6月18日付)
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