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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3021号 4月30日付
 
 

東電賠償請求 福島県外でも

バス業者が減収分求め、県連初の請求=埼玉
 埼玉県商工団体連合会(県連)は13日、東電に対し、福島第1原発事故に伴う被害の完全賠償など5項目の要望を行うとともに、大きな営業損害を受けた2人の民商会員が合わせて1460万円の賠償請求をしました。同県連を窓口とした賠償請求は今回が初めてです。

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東電に要請書を提出する菊池埼玉県連会長(左)

 賠償請求したのは、さいたま市内でバス会社を経営する2人の男性会員。約900万円を請求した会員は「会社を経営して7年になる。中国人観光客を相手に仕事をしていたが、原発事故で収入がゼロになった。社員に給料を払うため生命保険も解約した」と告発。「泣き寝入りするしかなかったが、民商に相談して頑張る気持ちになった。東電は誠意を見せてほしい」と声を詰まらせました。
 バスでゴルフ場への送迎をしていたもののキャンセル続きで仕事が激減した会員は560万円を請求しました。「融資をお願いしてもすぐに出なかった。無借金経営で頑張ってきたのに…。悔しい。我慢するしかないと思っていたが、民商でいろいろ教えてもらい請求した。これからも歯をくいしばって頑張りたい」と語りました。
 請求に先立つ交渉では(1)風評被害で販売不可能となった製品に対してすべて賠償の対象とすること(2)新規制値を超える放射性物資が検出された場合に自治体が行った出荷自粛についても営業損害と認め賠償すること(3)観光業者、サービス業者が事故により減収となった損害について、地域を限定せずに賠償すること-など5項目を要望。菊池大輔県連会長は「事故はいまだに収束せず、被害は拡大している。被害実態を踏まえ、計画停電の被害も含めた完全賠償を行うべきだ」と東電に迫りました。東電は「早急に回答したい」と答えました。
 交渉には全商連などで構成する「完全賠償連絡会」の弁護士、税理士が同席しました。

会員12人が賠償3500万円 自主計算が力=群馬・大田原
 栃木・大田原民主商工会(民商)は、原発災害で風評被害を受けた会員の損害賠償請求に取り組み、10日までに12人の会員がほぼ請求どおりの総額3500万円の賠償を実現しました。民商では「自主計算を貫いてきたからこそ賠償請求もできた。民商と一緒に請求をしよう」と呼びかけています。
 日光や那須などの観光地がある栃木県では、原発事故を機に、予約のキャンセルや新規の観光客が激減。観光に関わる業者は「お客がまったく来ない」「売り上げは一時期ゼロになった」など、大きな被害を受けました。
 大田原民商は、被害を受けたペンションを経営する10人の会員に呼びかけ、昨年7月に白河市内で開催された被害弁護団による学習会に参加。6人が賠償請求に向け一歩を踏み出しました。
 この中で真っ先に請求手続きを始めたのが、貸別荘を経営する大田原民商副会長。「東電に対する怒りがわいた。それにこの大不況の中での風評被害は業者にとって死活問題だったんです」と振り返ります。営業損失を計算し、昨年9月までの損失額として約400万円を請求。ほぼ満額が振り込まれました。すでに3回目の請求も終了しています。
 この請求実現を機に、他のペンション経営者、酪農、飲食、流通業の会員が相次いで請求手続きを開始。計12人が請求し、全員がほぼ請求どおりの賠償を実現しました。
 民商では「被害は栃木県内全体に広がっている。賠償請求をしたものの、わずかな金額しかでなかったという業者もいる。申請をためらうことなく、一緒になって賠償請求運動を広げよう」と話し合い、被害を受けた業者や団体にも連携を呼びかけていきます。

宮城県丸森町で 妊婦・子どもに20万円=宮城・仙南
 東京電力は5日、福島第1原発事故に伴う精神的被害の賠償金として、宮城県南部の丸森町の妊婦と18歳以下の子ども1人に、20万円を支払う考えを明らかにしました。福島県外の自治体が賠償の対象になるのは初めて。地元の仙南民主商工会(民商)などが求めていたものです。
 賠償の対象となるのは2000〜3000人と見込まれ、事故後に自主避難したかどうかは問いません。
 丸森町は福島県と山を隔てて隣接。放射線量も高く、住民からは自治体の境界ではなく、被害実態に基づく賠償を求める声が上がっていました。また原木キノコなどからも、国の基準を超える放射線量が検出され、風評被害の賠償を求める運動も広がっています。

全国商工新聞(2012年4月30日付)
   
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