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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2995号 10月17日付
 
 

原発損害賠償「計算・相談会」 「本払い」請求を東電へ

 福島県商工団体連合会(県連)は10月から始まる「本払い」で全面賠償をかちとろうと3日、いわき民商事務所で弁護士を招いて「東電請求書の計算・相談会」を開きました。観光、サービス業などの法人・個人事業主ら20人余が参加。県内の民商事務局長も参加して相談に乗りました。

「売上激減の責任を取れ」
 相談会には市内の業者らが参加。民商の相談会に初めて参加した業者もいました。
 いわき民商の黒子晴夫副会長が「しっかり計算し、完全賠償を求めていきましょう」とあいさつしました。
 弁護士は、東電が一方的に賠償基準や書式を定めたことを批判した上、その狙いが「賠償額を低く抑え、早期の決着を図ることだ」と指摘しました。
 請求書の作成・提出にあたってのポイントとして(1)納得できない部分は二重線を引いて同意しないことを明確にする(2)被害が続いているだけに今回の請求がすべてでなく、一部請求であることを明示する(3)提出する請求書、資料などは必ずコピーして保存する(4)合意書提出前には民商や自由法曹団の弁護士に相談する―ことなどを列挙。「東電の都合に合わせるのではなく、全面的な賠償を請求しよう」と強調しました。
 県連の佐藤松則事務局長は「業種ごとの請求書は問題があるものの、請求書を提出しながら改善を求めよう」と発言しました。
 弁護士の説明に先立ち、参加者は観光業者、サービス業の二つに分かれて計算会。アドバイスを受けながら、お互いに計算を教え合い、「東電のやり方は後ろから車をぶつけた人が賠償額を決めているようなもの。売り上げは昨年同時期比で4分の1。親の代からこの商売を35年やっているが、こんなにひどいのは初めて。東電は責任を取って完全賠償をしてほしい」と怒り心頭。

観光業の賠償 2割除外は不当
 土産物店の経営者は「年間1000万円以上の売り上げがあったが、3月以降はゼロ。それなのに逸失利益の計算において観光業だけが、原発以外の影響があると売上総額の2割が除外されるのはおかしい」と怒りをぶつけました。
 計算・相談会を通じて3人が新たに民商に入会しました。


<解説>まずは請求すること〜風評・間接被害も対象

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 東電請求書は政府の原子力損害賠償紛争審査会がまとめた「中間指針」(8月6日)を受け、賠償額の計算方法などを示したもの。9月に入り、個人、法人・個人事業主向け請求書が送付されています。個人向け請求書類は説明書だけでも160ページに及ぶ大部。観光業、サービス、製造業など11種類に分かれ、「煩雑すぎて分からない」などの声が上がっています。
 当初、東電との合意書に明記されていた「上記金額の受領以降は…一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」との文面については、被害者などの厳しい抗議で「削除の方向で見直しをする」と東電の西沢社長が9月26日の衆院予算委で発言しています。
 第1回の請求分の対象は3月1日〜8月31日まで。2回目以降は3カ月ごとの請求。本払いでは、仮払いで対象とされた国による避難指示区域など以外に、いわゆる風評被害や間接被害も対象となります。

全国商工新聞(2011年10月17日付)
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