被災施設復旧補助の改善を 中小企業の補助検討へ=宮城
宮城県商工団体連合会(県連)は8日、中小企業等グループ施設復旧整備補助事業(第2次募集)と被災中小企業施設設備整備支援事業の改善・拡充を求めて県経済商工観光部に申し入れました。
伊藤貞男県連会長はじめ県内の5民主商工会(民商)から13人が参加。来年も継続して実施するとともに、商業者や製造業者に対して新たな補助事業を実施するとの回答を得ました。
この事業は被災した中小企業がグループをつくって復興に向けた事業計画を作成し、県の認定を受けた場合、施設や設備の復旧・整備費用の4分の3(国2分の1、県4分の1)を補助するもの。宮城県は第一次募集(6月13日〜24日)で217グループ1300社余が申請しましたが、14グループ64社しか認定されず、中小企業の期待を裏切るものとなりました。
県側は「期待に応えられなくて申し訳なかった。予算がなかったので、認定のハードルを高くせざるを得なかった。予算枠を増やすよう努力しているが、県の負担は3分の1になっている。要望が強いので、来年度もやるようにしたい」と述べました。
また、中小企業への支援策として「県独自の補助事業を実施したい。商業者には4億5000万円の枠で上限300万円、製造業は30億円の枠で上限2000万円の補助事業を考えている。『中小事業』にはもちろん『零細業者』も含まれる」などと説明しました。
要請事項は(1)両事業の実施は、地域経済の復旧に欠かせない地元中小企業、特に零細業者に特段の配慮を行うこと(2)補助金交付を前提に、復興計画を認定しないこと(3)申請したグループの構成員は最大限尊重し、安易に補助事業の対象から外さないこと(4)認定されなかったグループ・事業者には、その理由を明らかにすること-などです。
参加者は「大企業を応援するのでなく、借り入れもままならない零細業者を、ぜひ応援してほしい」と訴えました。
気仙沼本吉民商の会員=建築=は「今度の震災で、事務所も倉庫も機材もすべて失った。妻も犠牲になり、住まいも流された。一時はやめようと思ったが、周りの人に励まされて再開している。中小企業グループへの補助事業を知り、期待して申し込んだが、認定されなかった。また申し込みたい。ぜひ認定してほしい」と訴えました。県側は「個別の問題でも、担当部署で相談に乗りたい」と話していました。
小企業の認定の少ない28グループ179億円
「中小企業等グループ施設復旧整備補助事業」は青森、岩手、宮城県内の28グループに179億円(国の負担は119億円)が助成されました(表)。
実施にあたって開かれた説明会には多くの事業者が駆けつけましたが、募集期間が極めて短く、短期間のうちにグループをつくって事業計画を作成して提出しなければならないなど問題点が明らかになり、参加者の不満が噴き出しました。民商会員もグループをつくって申請しましたが、補助を受けることができませんでした。
認定された事業所を見ると「サプライチェーン型」(供給連鎖)を中心に自動車産業系の企業が目立ち、宮城県内に工場を持つ自動車最大手の救済策ととられかねない状況です。
小さな事業所が外される一方で資本金1000億円を超える大企業が含まれ、「中小企業グループへの補助」という看板を掲げながら、大企業を支援するものとなっています。
同事業は、第2次補正予算でも100億円が計上され、岩手、宮城、福島、茨城県で9月5日〜22日まで復興事業計画の公募を実施しました(茨城県は6日から)。
第3次補正予算でも同様の事業が実施されるとしていますが、小企業・家族経営者が活用できるような改善が急務です。
全国商工新聞(2011年9月26日付)
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